【2026年10月】TrendForce、2027年のHBM平均単価は前年比121%上昇と予測──HBMと汎用DRAMが「同じウエハー」を奪い合う構造

半導体最新ニュース|統一サムネイルテンプレート

結論:TrendForceは、2027年のHBM(広帯域メモリ)の平均販売単価(ブレンドASP)が前年比121%上昇するとの見通しを示し、従来予測を上方修正した。背景は需要の強さだけではない。HBMと汎用DRAMが同じ先端プロセス・ウエハー容量を奪い合う「供給の取り合い」が構造として固定化しており、メモリ全体の逼迫が2027年まで続くという点が本質だ。

目次

何が発表されたのか

TrendForceは2026年9月29日、HBMの2027年価格見通しを上方修正したと発表した。理由は、供給制約の継続、単価の高いHBM4の構成比の上昇、2027年後半のHBM4eの段階的な立ち上がりの3点である。サプライヤー側も2027年の値上げに対して、従来より強気の姿勢をとっているという。

あわせて同社は、8層(8-Hi)品が12層(12-Hi)品に対して、Gb当たり10〜20%程度のプレミアム価格になると見ている。ベースダイ(土台となるロジック層)のコストを、より少ないDRAM容量で負担することになるためだ。

構造①:HBMと汎用DRAMは「同じウエハー」を取り合う

同じ9月29日、TrendForceはReutersの報道を引用し、Samsungの幹部が「HBMは2027年に業界のDRAMウエハー容量の約30%を占める。現在は約20%」との見方を示したと伝えた。報道ベースでは、HBMと汎用DRAMは同じウエハー容量を使うため、HBMが伸びるほど汎用DRAMの供給は圧迫される。

さらに業界推計(韓国紙報道ベース)では、HBMは汎用DRAMの約3倍のウエハー面積を必要とするとされる。この前提に立つと、HBMの比率が20%から30%へ上がる局面で、汎用DRAMの供給は2〜3倍の速度で減りうる、というのが元記事の試算だ。HBMの増産は、HBM市場だけの話ではなく、PC・スマートフォン・一般サーバー向けDRAMの供給を削る話でもある。

実際に、TrendForceは4Q26の汎用DRAM契約価格を前期比10〜15%上昇と予測している。AI向けと消費者向けの綱引きがすでに価格に表れている点は、こちらの記事でも整理した。

構造②:顧客側は「HBMを減らす」方向を検討し始めた

興味深いのは、GPUやASIC(特定用途向けチップ)の設計企業が、1デバイス当たりのHBM搭載量を減らすことを検討している点だ。TrendForceによれば、理由は需要の減退ではなく、供給の限界とシステムコストの上昇である。

8層構成ならDRAMダイの数が少なく、スタック当たりのコストとGPU全体の部品コストを下げられる。同じHBMのビット供給量で、より多くのGPUを支えることもできる。供給が絞られると、需要側は仕様を変えて対応する。これが8層品のプレミアムにもつながっている。

構造③:収益源は「出荷量」から「供給枠の価格」へ

この構図は、メモリ各社の収益構造の変化と整合する。Samsungの暫定営業利益やMicronの決算に見られるように、メモリは出荷量よりも、価格と供給枠の確保が利益を左右する局面に入っている。HBM4の比率上昇(Samsungは2027年に出荷の約8割がHBM4系になる可能性があるとの韓国紙報道)は、単価をさらに押し上げる要因だ。

競争領域も、DRAMセル単体から周辺工程へ広がっている。MicronがHBMのベースダイにTSMCの先端プロセスを採用と報じられた件、SamsungとASMLによるHigh-NA EUVのDRAM量産導入、HBM需要を追い風に台頭する中国の試験装置メーカーは、いずれも同じ流れの中にある。逼迫の波及はNanyaやWinbondの過去最高売上のように、レガシー品・特殊品にも及んでいる。

実務上の見方(M&A・投資視点)

ポイントは3つある。第一に、HBMの価格上昇は一時的な需給ではなく、ウエハー配分という構造に根ざしている。第二に、恩恵はメモリメーカーだけでなく、露光・試験・パッケージなど増産のボトルネックを握る装置・材料企業にも波及しうる。第三に、リスクは需要の減退ではなく、「コストが高すぎて顧客が仕様を落とす」ことだ。HBM搭載量の削減が広がれば、価格上昇の持続性は変わる。

なお、本稿の数値はTrendForceの発表と、同社が引用した報道に基づく。Samsung幹部の発言や韓国紙の推計は報道ベースであり、確定値ではない。

出典:TrendForce「HBM Supply Constraints Persist, 2027 Price Outlook Revised Upward with Blended ASP Forecast to Rise 121% YoY」(2026年9月29日)/TrendForce「Samsung Sees HBM Taking Nearly 30% of Industry DRAM Capacity in 2027」(2026年9月29日、Reuters・Seoul Economic Daily等の報道を引用)/TrendForce「AI Server Demand Sustains Memory Contract Price Increases in 4Q26」(2026年9月30日)


半導体業界のM&A・参入・投資をご検討の方へ

本記事のような業界構造の分析をふまえ、半導体業界へのM&A・新規参入・企業分析を実務目線でご支援しています。まずはお気軽にご相談ください。

🏢 お問い合わせ:テックメディックス総研株式会社

◆ M&A・投資視点のより深い企業分析はnoteで公開しています
→ 半導体業界動向マガジン(高野聖義)

◆ 半導体業界へのM&A・参入・コンサルティングをご検討の方
→ 初回相談無料|テックメディックス総研株式会社

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次