【2026年10月】TSMC、7〜9月期売上は過去最高の1.49兆台湾ドルで前年比50%増──ガイダンス上振れの裏にある「先端ノード逼迫」の構造

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結論:TSMCが発表した2026年7〜9月期の売上高は過去最高の1兆4,900億台湾ドル(約467億米ドル)、前年同期比50%増となり、7月に示した会社ガイダンスの上限を上回りました。AI関連需要の強さに加え、先端ノードの逼迫と値上げ余地が重なった「供給側が価格を決められる構造」が数字に表れた格好です。ただし純利益や粗利益率は10月15日の決算発表まで未確定で、本稿の利益予想は報道・アナリスト推計ベースです。

目次

7〜9月期売上はガイダンス上限を超過

TSMCの発表によると、7〜9月期の売上高は約1兆4,900億台湾ドルで、前年同期比50%増でした。7月の決算説明会で示したガイダンスは446億〜458億米ドル(会社想定為替1米ドル=32台湾ドルで約1兆4,270億〜1兆4,660億台湾ドル)で、実績はその上限を上回ったと報じられています。ロイターが引用したLSEGのアナリスト19人の平均予想(約1兆4,600億台湾ドル)も上回りました。

月次では、9月の売上高が5,118億6,000万台湾ドルで、前月比0.6%減、前年同月比54.6%増でした。8月に続き2か月連続で5,000億台湾ドルを超え、過去2番目の高さです。台湾の経済日報は9月について前月比6〜14%の減少を予想していたと伝えられており、市場の想定を上回る粘りでした。1〜9月の累計は約3兆8,990億台湾ドルで、前年同期比41.1%増です。

なお、純利益はまだ公表されていません。LSEGの集計によるアナリスト予想は約7,408億台湾ドル(前年同期比64%増)で、これは会社発表の数字ではなく推計です。

構造的に何が起きているか:需要と供給の両面

需要面の主因は、AIアクセラレーター向けの先端ロジックとCoWoSなどの先端パッケージです。台湾の中央通信社(CNA)は、NVIDIAの次世代プラットフォーム「Vera Rubin」と2nmプロセスの立ち上がりが、第4四半期にかけても成長を支えるとみています。スマートフォン新機種に向けた在庫積み増しも寄与したと報じられています。

供給面では、先端ノードの能力が逼迫しています。JPMorganは、第4四半期の売上成長率は前四半期比11%に鈍化すると予想しており、理由として3nm能力のひっ迫と、年内の追加値上げがないことを挙げたと報じられています。つまり、売上の伸びは「需要不足」ではなく「生産できる量」に制約されているということです。この点は、Samsungファウンドリの赤字が続く構造や、Intelが14Aで外部顧客との協議を進める動きとも表裏一体です。先端ノードで余力を持つ企業が限られるほど、顧客は代替の選択肢を探すことになります。

同じ構造はメモリ側にも見られます。MicronによるNVIDIA向けカスタムHBMのベースダイや、SK hynixとTSMCのCoWoSをめぐる動きでは、TSMCがロジックとパッケージの両面でAIサプライチェーンの結節点になっています。AI需要の恩恵はメモリ側にも及んでおり、Micronの直近決算でも示されたとおりです。

利益率と設備投資の論点

7月時点のガイダンスでは、第3四半期の粗利益率は65〜67%、営業利益率は56〜58%でした。第2四半期の実績(粗利益率67.7%、営業利益率60.3%)からは低下する見通しです。背景として、2nmの立ち上がりや海外工場の稼働開始に伴う減価償却と立ち上げコストの増加が指摘されています。JPMorganは第3四半期の粗利益率を66.8%と、ガイダンスの上限近くで予想していると報じられています。

設備投資について、CNAは2026年のガイダンスが600億〜640億米ドルに引き上げられていると伝えています。米アリゾナ州には追加で1,000億ドルを投じ、同州での計画は合計2,650億ドルとされます。テキサス州での新キャンパス計画も含め、米国拠点の拡大が利益率にどう響くかが焦点です。2027年の設備投資の詳細は、JPMorganによれば10月ではなく2027年1月に示される可能性があります。

2027年の値上げ観測と競合の動き

値上げについては、CNAが機関投資家の見方として、2027年に先端ノードで5〜10%、先端パッケージで10〜15%、成熟ノードで3〜5%の引き上げを伝えています。経済日報は成熟ノードを3〜10%としており、幅に差があります。いずれもTSMCは確認しておらず、あくまで報道ベースの観測です。

競合面では、Intelの14Aが2027年第1四半期のリスク生産を目標にしているとの報道がありますが、公式ロードマップでは社内向け14A製品は2027年後半、量産は2028年とされています。TSMCのA14のパイロット生産が2027年第1四半期に始まる可能性があるとも報じられています。また、TSMCとイーロン・マスク氏のTerafabとの提携協議が報じられていますが、マスク氏自身は「議論にすぎない」との趣旨を述べており、内容は未確認です。

まとめ:10月15日に確認すべき点

今回の売上は、AI需要と先端ノードの供給制約が同時に効いていることを示しました。10月15日の決算では、実際の粗利益率、第4四半期ガイダンス、2027年の投資姿勢と価格方針が焦点になります。売上の強さがそのまま利益率の維持につながるのか、それとも減価償却と海外展開のコストが重くなるのかを見極める必要があります。

出典:TrendForce「TSMC Q3 Revenue Beats Forecasts at Record NT$1.49 Trillion」(2026年10月8日)、TrendForce「TSMC Earnings Preview」(2026年10月5日)。同記事が引用するTSMC発表、Reuters、中央通信社(CNA)、経済日報、Commercial Timesなどの報道に基づく。利益・設備投資・値上げに関する数値は報道・アナリスト推計であり、会社発表ではありません。


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