【2026年10月】Samsung、7〜9月期の暫定営業利益は約107兆ウォンと報道──メモリが「景気循環」から「供給側が価格を決める構造」へ移る意味

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結論:Samsung Electronicsが10月8日に公表した2026年7〜9月期の暫定決算は、営業利益が約107兆ウォン規模と報じられました。2025年通期の営業利益(約43.6兆ウォン)の2倍を超える水準で、利益の大半を稼いでいるのはメモリです。これは単なる好況ではなく、AI向け需要で「供給側が価格と条件を握る構造」にメモリ産業が移ったことを示す数字だと考えます。なお暫定値は報道ベースで、売上は約195兆〜200兆ウォンと媒体により差があります。

目次

何が起きたのか──暫定値と市場予想

Tech Buzzは営業利益107.4兆ウォン、売上約195兆ウォンと伝えています。TrendForceが引用した韓国メディアの事前予想は営業利益105兆〜107兆ウォン、売上約200兆ウォンで、おおむね予想線上の着地です。8月時点では113兆ウォン超という予想もあり、ウォン高によるデバイス事業の採算悪化を受けて下方修正されていました。それでも四半期の営業利益が100兆ウォンを超えるのは韓国企業として初めてとされています。

韓国の開示ルール上、暫定決算では事業部別の内訳は出ません。「半導体部門の営業利益率が約75%」「メモリ部門は80%超」という数字は、あくまで証券会社の推計である点に注意が必要です。

構造的に何が変わったのか──需要ではなく「価格決定権」

以前のメモリ市況は、需要が増えれば各社が増産し、供給過剰で価格が崩れる循環でした。いま違うのは、先端DRAMの生産能力がHBM(広帯域メモリ)に吸われ、汎用DRAMに回る供給が絞られている点です。TrendForceは2026年第4四半期のDRAM契約価格を前期比10〜15%、NAND契約価格を15〜20%上昇と見ており、当サイトでもNAND契約価格の上昇予測を取り上げました。

HBMでも価格交渉の力は供給側にあります。SamsungはHBM売上が2026年に前年比3倍超になる見通しで、KB証券は2027年のHBM価格がさらに前年比で2倍超になり得るとしています。TrendForceの2027年HBM価格121%上昇予測とも方向が一致します。同じ流れで、Micronは粗利益率87%を記録しました。

利益率が80%に近づくと、買い手側の行動も変わります。クラウド事業者は価格の安い時期に買うのではなく、調達量を確保することを優先し、前払いや長期契約で供給枠を押さえにいきます。これは価格が下がっても需要が増えにくい局面から、価格が上がっても注文が減りにくい局面への転換を意味し、メモリを「在庫循環で読む」従来の分析の前提が崩れつつあります。

競争構図への影響──Samsungの位置づけ

HBM市場ではSK hynixが先行してきましたが、SK hynixはCoWoSでHBM5を検証するなど次世代でも主導権争いが続きます。一方でMicronはDRAMシェアでSK hynixに1ポイント差まで接近と報じられ、3社の序列は動き始めています。Samsungは利益の絶対額で他社を引き離す一方、HBM4の比率が2027年にHBM売上の約8割になるとの見方(KB証券)が実現するかが、シェア回復の分かれ目です。

見落とせないのは非メモリ事業です。Tech Buzzは、デバイス事業が2四半期に初の赤字だったと伝えています。ファウンドリも2026年の赤字が42%縮小と報じられたものの、再建の途上です。利益の集中度が高いほど、メモリ市況の反転が全社業績に与える影響は大きくなります。

TSMCの数字と並べて読む

同じ日に発表されたTSMCの7〜9月期売上は約1.49兆台湾ドルで前年比約50%増、9月単月は5,118.6億台湾ドル(前年比54.6%増)でした(TipRanks、Reuters予想を上回ったと報道)。ロジックの最先端とメモリの最先端がそろって過去最高水準にあるのは、AIサーバー投資がどちらにも同時に波及しているためです。SamsungとASMLのHigh-NA EUVのDRAM適用のように、設備投資の議論も次の段階に入っています。

今後の注目点

確認したいのは三点です。第一に、10月下旬の確定決算で事業部別の利益と設備投資計画がどう示されるか。第二に、第4四半期の契約価格が予測どおり上がるか。第三に、Nanya・Winbondに見られるレガシー品への逼迫の波及が続くかです。供給側の規律が保たれる限り、メモリは「循環産業」ではなく「寡占的な戦略部材」として評価される場面が増えると考えます。

一方でリスクもあります。利益率が極端に高い状態は、新規増産や中国メーカーの追随を招きやすく、供給規律が緩めば転換点は早まり得ます。また、ウォン高のような為替要因は韓国勢の利益を短期的に押し下げます。投資や提携を検討する立場では、足元の利益額よりも、設備投資の増額幅と契約の長期化がどこまで進むかを先行指標として見るのが現実的です。

出典:TrendForce News「Samsung 3Q Preliminary Results Preview」(2026年10月7日)/The Tech Buzz「Samsung Q3 2026 Earnings」(2026年10月8日)/TipRanks「TSMC Q3 Revenue Soars 50%」(2026年10月8日)。数値は報道ベースで、確定値は各社の正式開示をご確認ください。


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