【2026年10月】中国のメモリ試験装置メーカーがHBM需要を追い風に台頭と報道──歩留まりを握る「試験工程」が競争領域になる構造

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結論:TrendForce News(2026年10月5日)が中国系メディアの報道を引用して伝えたところによると、HBM・AI向けメモリの増産を背景に、メモリ試験装置(ATE)市場で中国メーカーが海外勢の牙城に挑み始めている。ただし数値の多くは二次報道ベースで、中国の後工程試験装置の設置台数の8割超が輸入品という構図そのものは、まだ変わっていない。ここで起きているのは「装置の国産化」という単純な話ではなく、HBMの普及によって「試験工程」が独立した競争領域になりつつあるという構造変化だ。

目次

何が報じられたのか

TrendForce Newsの記事は、中国の産業メディア「ijiwei」と韓国の「ETNews」の報道を引用する二次情報である。記事によれば、中国の後工程試験における設置装置のうち、輸入品が80%超を占めるとされる。AIとHBMの拡大で特殊なメモリ試験装置への需要が増えており、この市場で中国勢が存在感を高めているというのが全体の筋書きだ。

海外勢の代表はAdvantestとTeradyneである。報道ベースでは、AdvantestはDRAM/HBM向け試験装置のトップサプライヤーでSamsung、SK hynix、Micronと取引があり、世界のメモリ試験装置市場で50%超のシェアを持つとされる。Teradyneはサーバー向けなど高性能DRAMの試験に強く、サーバーメモリ試験装置で約30%のシェアと伝えられている。いずれも出所は記事内の引用で、独立に検証された数字ではない点には注意が必要だ。

一方、中国勢としてはTBSTest、MaxOneSemi、ChangChuan Technology、SEICHITECHなどが挙がっている。TBSTestの「TM8000」シリーズは2024年に中国の大手メモリメーカーで量産導入され、過去1年で300システム超を受注したと報じられた。2026年には中国のメモリATE市場で15%近いシェアを取る見込みとされるが、これは実績ではなく予測である。

なぜHBMで「試験」が主役になるのか

HBMは複数のDRAMダイを積層する製品であり、積層後に不良が見つかれば、良品のダイも含めてスタック全体が損なわれる。つまり、組み立て前後の試験の精度と効率が歩留まりとコストに直結する。報道では、Advantestの「V93000 HS2」は複数スタックのHBMを並列試験でき、業界平均より効率が40%高いとされるが、これはベンダー側の主張であり、第三者による確認はない。

この構造は、当サイトで取り上げてきたメモリ供給の逼迫とも地続きだ。TrendForceは2027年のHBM平均販売単価を前年比121%上昇と予測しており(関連記事:TrendForce、2027年HBM価格を121%上昇と予測)、HBMが高価になるほど不良による損失も大きくなる。さらに、SK hynixがHBM5の検証を進めているとの報道や、MicronがNVIDIA向けカスタムHBMのベースダイにTSMCの3nm級を採用するとの報道が示すように、HBMは「ただのメモリ」から「ロジック要素を含む複雑な部品」へ変わりつつあり、試験の難度も上がる。

韓国勢の発注から見える動き

ETNewsの報道として、韓国のDigital FrontierとUniTestがSK hynixからHBM4向けウェハーテスターを合計2,839億4,000万ウォン受注したと紹介されている(内訳はDigital Frontierが2,321億ウォン、UniTestが518億4,000万ウォン)。発注時期は記事中で明示されておらず、元記事のURLからは2026年8月頃と推測されるにとどまる。

ここで重要なのは、HBM4から専用の試験装置を使う動きが強まっているとされる点だ。記事は「装置需要がHBMの出力より速く伸びる可能性」にも触れているが、これは定量的な予測ではなく分析上の見方にすぎない。メモリメーカーの設備投資が試験装置にも広がるのであれば、SamsungとASMLが2028年にHigh-NA EUVをDRAM量産へ導入するといった前工程の投資だけでなく、後工程の投資配分も見ておく必要がある。

構造的に何が起きているのか

第一に、メモリ市場の主戦場が「ビット出荷量」から「良品として出荷できる量」へ移っている。MicronのDRAMシェアがSK hynixに1ポイント差まで迫ったとの報道があるように、メーカー間の競争は激しく、歩留まりと出荷の確実性が収益を左右する。試験装置は、その歩留まりを左右する数少ないレバーだ。

第二に、中国にとっては装置の国産化が経済性だけでなく調達の安全保障の問題でもある。輸入依存が80%超という状況で、TBSTestのようなメーカーが量産ラインに入ること自体に意味がある。ただし15%という数字は予測で、Advantestが握るとされる50%超のシェアを崩すには、HBMのような最先端品での実績が必要になる。報道では、TBSTestはDDR、LPDDR、HBM、NAND、NORまで幅広く対応するとされるが、HBMでどこまで量産実績があるのかは記事からは読み取れない。

第三に、レガシー・特殊品の逼迫が広がっている点だ(関連記事:Nanya・Winbondの9月売上が過去最高と報道)。汎用DRAMの値上がりが続くなか、試験能力が不足すれば供給のボトルネックになりうる。メモリ価格の上昇(関連記事:TrendForce、4Q26のNAND契約価格は15〜20%上昇と予測)は、試験装置への投資を正当化する材料にもなる。

今後の見どころ

注目点は三つある。ひとつは、中国勢が「汎用DDR向け」から「HBM向け」へどこまで進めるか。ふたつ目は、AdvantestとTeradyneが並列試験やSLT(システムレベルテスト)といった付加価値で差を維持できるか。みっつ目は、韓国のDigital FrontierやUniTestのような第三勢力が、HBM4世代で存在感を保てるかだ。M&Aや新規参入を検討する立場からは、試験装置は「景気循環に左右されにくく、世代交代で参入余地が生まれる領域」として、周辺企業を含めて継続的に追う価値がある。

なお、本稿の数値はすべて報道ベースであり、市場シェア、効率向上率、受注額は元の記事で独立に検証されていない。投資や事業判断に使う場合は、各社の開示資料で確認することを勧める。

出典:TrendForce News「AI, HBM Drive Memory Testing Demand: How China’s Suppliers Are Challenging an 80%-Import Market」(2026年10月5日。ijiwei、ETNewsの報道を引用)。補足:TrendForceプレスリリース(2026年9月29日、9月30日)。


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