結論:Samsung Electronicsが10月8日に公表した2026年7〜9月期の速報値は、営業利益107.4兆ウォン(前年同期比約783%増)、売上高195兆ウォン(同約127%増)でした。四半期の営業利益が100兆ウォンを超えるのは初めてで、ロイター報道ベースでは市場予想(LSEG SmartEstimateの106.1兆ウォン)もわずかに上回っています。構造的に重要なのは、この利益がHBM4の本格出荷と汎用DRAMの価格高騰という二つの異なる要因の重なりで生まれており、その分だけSamsung全体の損益がメモリ事業に強く依存する形になっている点です。
速報値の中身:何が起きたのか
売上高は195兆ウォン、営業利益は107.4兆ウォンです。韓国紙Hankyungの報道によると、1〜9月の累計営業利益は254.13兆ウォンに達し、2025年通期の営業利益43.6兆ウォンを、わずか1四半期で上回りました。速報値では部門別の内訳は示されておらず、詳細は10月29日の確定決算で開示される予定です。半導体部門(DS)の売上が100兆ウォンを超えたとの推計も出ていますが、これは確定値ではなく報道ベースの見方です。
利益を押し上げた二つのエンジン
一つ目はHBM4です。NVIDIAの次世代AIアクセラレーター「Vera Rubin」向けの供給が第3四半期から本格的に収益へ寄与し始め、ロイターはSamsungのHBMのビット出荷量が前期比で約5割増えたと報じています。HBMの世代交代と顧客側の仕様については、SK hynixのHBM4E公開報道やTrendForceによるHBM積層数の見通しの記事も参照してください。
二つ目は、スマートフォン・PC向けを中心とした汎用DRAMの価格上昇です。ロイターが引用するアナリストは、この分野のビット出荷量は前期比でほぼ横ばいと見ており、増益の主因は出荷量の拡大ではなく単価の上昇だということになります。第4四半期の契約価格についても強気の見方が続いており、詳しくはTrendForceの4Q26 DRAM契約価格の記事で整理しています。
つまり今回の利益は「数量が増えた」というより、「供給が絞られた市場で、高付加価値品と汎用品の両方の単価が同時に上がった」結果です。需給が緩めば反転も大きくなる点で、収益の変動幅は従来より大きい構造になっています。AI向けの設備投資が続く間は追い風ですが、顧客の投資計画が一巡した局面では、単価下落と稼働調整が同時に起きるリスクも意識しておく必要があります。
明暗が分かれる他部門:メモリ高騰の裏返し
一方で、スマートフォンや家電を担うDX部門は、第2四半期に初の四半期営業赤字(8,000億ウォン)を計上しました。Seoul Economic Dailyが引用するアナリストは、第3四半期の赤字が1兆ウォンを超えたと推計しています。理由は部品コストの上昇で、メモリ価格の高騰がSamsung自身のセット事業ではコスト増として跳ね返っているわけです。ファウンドリ部門も、固定費負担と低稼働率により赤字が続く見込みとロイターは伝えています。
ファウンドリ側では、NVIDIAのカスタムHBMでTSMCの3nmを採用する報道のように、メモリと先端ロジックの境界が動く事例も出ています。メモリで稼ぎ、ロジックで追う、という二面性が同社の今後の論点です。
競合との比較と今後の焦点
競合のSK hynixは、7〜9月期の営業利益が約77兆ウォンと予想されています(FnGuide、MoneyToday報道)。同記事が引くCounterpoint Researchによれば、2026年第2四半期のHBM売上シェアはSK hynixが50%、Samsungが33%、Micronが18%でした。Samsungの利益額が大きく見えても、HBMの顧客シェアで先行するのはSK hynixという構図は、10月29日に両社が確定決算を出すまで確認が必要です。
先行きについて、ロイターはSamsungとMicronの双方がメモリの供給逼迫が2028年まで続くと見ていると伝えています。また、Samsungは2027年にHBMがDRAM生産能力の約3割を占める(現在は約2割)と見ているとの報道もあります。HBMは同じウェハーから取れるビット数が汎用DRAMより少ないため、HBM比率の上昇は汎用DRAMの供給をさらに絞り、価格を支える方向に働きます。一方で、コスト上昇、中国メーカーとの競争激化、米国の半導体関税の可能性がリスクとして挙げられています。
制約はメモリ本体だけにとどまりません。Samsung電機のFC-BGA基板への大型投資や、Lam Researchの過去最高売上が示すように、基板や製造装置にも需要が波及しています。今回の速報値は、AI向け投資の恩恵がメモリ、基板、装置へと連鎖していることを示すデータの一つと見るのが適切です。
出典:TrendForce News「Samsung Sees 3Q26 Operating Profit Soaring 783% to Record KRW 107.4 Trillion on HBM4, Memory Price Gains」(2026年10月8日、ロイター、Hankyung、Seoul Economic Dailyの報道を引用)/MoneyToday「SK hynix poised for another record quarter on HBM4 demand and rising memory prices」(2026年10月19日)。数値は速報値および報道ベースであり、確定値は10月29日の決算発表で確認してください。
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