【2026年10月】Samsung・SK hynix、巨額投資でもメモリの供給増は2028年にずれ込むと報道──「資金を積んでも供給は増えない」時間差の構造

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結論:Samsung ElectronicsとSK hynixは巨額の設備投資を続けているが、メモリの本格的な供給増は2028年前後まで先送りされるとの見方が強まっている。Digitimesは10月29日、両社の投資が合計110兆ウォン規模に上る一方、供給の押し上げ効果は2028年にずれ込むと報じた(報道ベース。本文は確認できておらず、見出しレベルの情報)。構造的に重要なのは投資額の大きさではない。「資金を積んでも供給はすぐ増えない」という時間差が、メモリの価格決定力を供給側に固定している点である。

目次

何が報じられたのか

Digitimesの見出しが示すのは、Samsung・SK hynixが大規模投資を行っても、供給の上積みは2028年まで待たねばならないという構図だ。詳細は未確認のため、ここでは韓国メディアの報道で補って整理する。Korea JoongAng Dailyの3月12日付報道によれば、Samsungは平沢のP5の建設を再開し、建設完了は2027年上半期、量産は2028年後半を目標とする。SK hynixの龍仁Y1は建設完了が2027年2月、装置の搬入開始は2027年第2四半期とされる。

さらにKorea Timesの6月30日付報道では、両社が各400兆ウォン、合計800兆ウォン(約516億ドル)の長期投資を表明した。ただし着工や稼働の時期は示されず、「市況に応じて変わり得る」との但し書きが付いている。金額の大きさに比べ、時間軸はかなり柔軟に設計されていることが分かる。

なぜ投資しても供給が増えないのか

JoongAng Dailyは、供給が増えにくい理由を3点挙げる。第一に、投資の多くが即座のウエハー増産ではなく、インフラ整備や先端パッケージング、既存ラインの先端プロセスへの転換に向かっていること。第二に、業界全体でクリーンルームの空間が不足していること。第三に、新工場の完成から装置の搬入、量産までに数四半期から数年を要することだ。同紙は、大きな供給緩和は2027年下半期以降になるとの見方を紹介している。

ここで見落とせないのが、既存ラインの転換の意味である。Samsungの平沢P4は1c DRAMへの転換が進むが、転換期間中は生産が一時的に止まるため、純増にはなりにくい。つまり「投資」と「供給増」は同じ時点では起きず、投資の発表がそのまま市況の緩和を意味するわけではない。

価格と利益への含意

供給が硬直的であれば、利益は数量ではなく価格で決まる。実際、TrendForceは4Q26のDRAM契約価格が前期比で約20%上昇すると報じられており(4Q26のDRAM契約価格に関する当サイトの解説)、Samsungの7〜9月期の営業利益は107.4兆ウォンの速報となった(Samsungの7〜9月期速報の解説)。SK hynixも営業利益率80%を発表している(SK hynixの7〜9月期決算の解説)。メモリが「量より価格」で稼ぐ産業に変わったのは、供給の時間差が続くことを前提にした現象である。

製品側の複雑化も供給を絞る方向に働く。HBMでは8層が2027年後半に主流になるとの報道があり(HBMの積層数に関する解説)、NVIDIAのカスタムHBMでは、ベースダイにTSMC 3nmを使う動きも報じられた(NVHBMとTSMC 3nmの解説)。仕様が高度になるほど、製造工程と検証の負荷は増える。そのため、同じ投資額でも供給量の伸びは鈍くなりやすい。

装置・後工程への波及

投資と供給のずれは、装置・後工程の側から先に表れる。装置の搬入は2027年第2四半期以降に本格化する見込みで、装置メーカーは先行して受注を得る立場にある。ASMLは韓国向けの交換部品を2027年1月から10%値上げすると報じられ(ASMLの値上げ報道の解説)、Lam Researchは7〜9月期に過去最高の売上を記録した(Lam Researchの決算解説)。後工程でもTSMCがCoWoSの値上げを検討していると報じられている(CoWoSの値上げ検討の解説)。制約が前工程のウエハーから、装置・パッケージへと広がっているのが現状だ。

見方が分かれるリスク

もっとも、2028年以降は見通しが割れる。Korea Timesは、複数のアナリストが現在の市況は2028年頃まで続くと見る一方、2028年以降は主要各社の新規能力が同時期に稼働するため、見方が分かれると伝えている。Micronも広島、アイダホ、シンガポールで増強を進めており、供給が一斉に立ち上がれば、価格が反転するリスクもある。長期契約による価格の下支えと、2028年の供給の立ち上がりのどちらが先に効くかが、M&Aや投資の評価を左右する論点になる。

出典:Digitimes「Samsung, SK Hynix invest KRW110 trillion as memory supply boost slips to 2028」(2026年10月29日、見出しのみ確認)/Korea JoongAng Daily(2026年3月12日)/The Korea Times(2026年6月30日)/TrendForce News。数値・計画は報道ベースであり、各社の公式発表ではない。


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