【2026年10月】キオクシア、7〜9月期は売上2.48兆円・営業利益率80%と報道──設備投資を抑えたまま「価格」で稼ぐNANDの構造

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結論:キオクシアの2026年7〜9月期(第2四半期)は、売上高が2兆4,800億円、非GAAPの営業利益が約1兆9,900億円(営業利益率80%)と、いずれも過去最高になったと報じられています。ただし注目すべきは数字の大きさそのものではなく、「設備投資をほとんど増やさないまま、価格上昇だけで利益が膨らんでいる」点です。NANDは今、供給を急に増やせない産業が価格で利益を取る局面に入っており、その持続性が次の焦点になります。

目次

何が起きたのか:売上2.48兆円、粗利益率は84%

報道によると、売上高は前四半期の1.767兆円から約4割増え、2.48兆円となりました。粗利益率は非GAAPで84%(合弁事業関連を除くと87%)、営業利益は1兆9,883億円、純利益は1兆3,486億円です。前四半期は粗利益率が80%、営業利益率が75%でしたから、わずか3カ月で収益性がさらに上がったことになります。

なお、これらの数値は決算説明会の内容をまとめた二次情報に基づく「報道ベース」です。売上高には合弁事業関連の約666億円が含まれるとされており、正確な数値は同社の開示資料で確認が必要です。

利益の源泉は「価格」:ビット出荷は十数%増にとどまる

同じ報道では、平均販売価格(ASP)が前年同期比で20%台半ばの上昇、ビット出荷が十数%の増加とされています。つまり、売上の伸びの大部分は販売数量ではなく単価の上昇によるものです。背景にあるのは、AIデータセンター向けのストレージ需要です。キオクシアは、データセンター・エンタープライズ需要が、スマートフォンの横ばいとPCの減少を補うとみています。

この構造は、DRAMで先に起きたことと同じです。TrendForceは4Qの DRAM契約価格が前期比約20%上昇すると報じていますし、SK hynixも営業利益率80%と「2030年まで需要超過」の見方を示しました。メモリ全体が「需要家が価格を受け入れる」市場に入った点が共通しています。

設備投資は846億円:増産を急がない構造的理由

第2四半期の設備投資は総額846億円(政府補助金93億円を含む)、純額で752億円でした。注力先はBiCS FLASHの第8世代と第10世代への移行です。北上工場の第3製造棟(K3)は敷地造成が始まった段階で、稼働は2029年度の計画とされています。

ここに構造的な意味があります。NANDは新しい製造棟を建てても稼働まで数年かかるため、需要が急増しても供給は追随できません。HBMでも8層が2027年後半に主流になると報じられているように、先端メモリでは「枠」と「立ち上がり時期」が供給を決めます。供給が硬直的であるほど、価格が利益を決める度合いが強まります。

他セグメントへの波及と注意点

AI需要の恩恵は、メモリだけでなく周辺にも広がっています。Samsungの7〜9月期の営業利益速報や、TSMCが過去最高益ながら粗利益率66.4%へ低下したことは、同じ需要が部門ごとに異なる収益構造で表れていることを示します。さらに主要CSPの設備投資が2027年にも拡大するとの見通しは、ストレージ需要の裏付けになります。一方で、成熟ノードやパワー半導体にもAI需要が波及していることは、需要の裾野が広がる反面、供給が追いつく分野も増えることを意味します。

注意点は、次の四半期の売上見通しが「ほぼ横ばい」と報じられている点です。伸び率が約40%から数%に鈍化する見方があり、価格上昇の勢いが一服する可能性を市場は織り込み始めています。TrendForceも、2027年後半にはNAND供給が緩む可能性を指摘しています。

今後の注目点:長期契約と価格の持続性

今後の注目点は三つあります。第一に、キオクシアが2028年に目標とする長期契約(LTA)比率50%に向けた進捗。第二に、市場全体のビット需要が2026年に十数%、2027年に20%台前半で伸びるという会社見通しと、実際の価格との整合。第三に、K3棟など新規供給が立ち上がる時期です。価格が高いほど各社の増産投資は前倒しされやすく、それ自体が将来の供給過剰の種になります。メモリ産業の収益は「価格×供給の硬直性」で決まり、その硬直性は設備投資によって徐々に解消される、というのが構造的な見方です。M&Aや参入を検討する立場では、現在の利益水準をそのまま前提にせず、サイクルのどの位置にあるかを見極める必要があります。

出典:Kioxia Holdings FY2026 Q2 決算説明会の要約(456X Semi-AI、2026年10月30日)/TrendForce News「Kioxia 1QFY26 Gross Margin Hits 80%; Reaffirms 50% LTA Target for 2028」(2026年7月31日)。数値は報道ベースであり、同社の公式開示での確認を推奨します。


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