【2026年10月】SEMI、米州の300mm装置投資が2029年に406億ドルへ倍増と予測──装置需要の重心が「米国クラスター」へ寄る構造

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結論:SEMI(国際半導体製造装置材料協会)の予測によれば、米州の300mmファブ装置投資は2026年の181億ドルから2029年に406億ドルへ、3年あまりで2倍以上に膨らむ見通しです。世界全体の伸びを上回るため、米州の存在感は「一つの地域」から「装置サプライチェーンの重心の一つ」へ移りつつあります。本記事ではTrendForceが2026年10月14日に報じた内容(TechNews、The Elecなどの報道を引用)をもとに、この数字の裏にある構造を整理します。

目次

世界の装置投資は2029年に2,270億ドルへ

報道ベースで整理すると、SEMIは世界の300mmファブ装置投資を2025年の1,130億ドルから2026年に約1,490億ドル(前年比31%増)、2029年に2,270億ドルへと見ています。2026〜2029年を通じて、毎年2桁成長が続く想定です。

SEMIのClark Tseng氏は、この伸びを先端ロジック、先端メモリー、その他300mm技術への持続的な投資の反映と説明しており、AI投資の一時的な急増だけでは説明できないという見方です。新規着工も2026年に20件、2027年に18件(研究開発専用施設を除く)と見込まれ、稼働開始や初ウエハー出荷は2026年の13件から2027年に23件へ増えます。つまり、「建てる」局面から「動かす」局面へ移る年が2027年です。

この流れは装置メーカー側の発言とも整合します。先日報じられたASMLの供給不足警告は、装置の供給能力が投資意欲に追いつかない状況を示しており、需要側の予測と供給側の制約が同じ方向を向いています。

米州は「12%から18%」へ──数字から見える重心移動

米州の300mmファブ装置投資は2026年の181億ドルから2029年に406億ドルへ増える見通しです。報道の数字から単純計算すると、世界に占める比率は2026年の約12%(181÷1,490)から2029年の約18%(406÷2,270)へ上昇します(比率は本稿の試算です)。

SEMI Americasのジョー・ストックナス会長は、米国内の半導体関連投資が8,000億ドルを超え、フェニックスだけで2,000億ドル超、周辺案件を含めると3,500億ドルに近づき得ると述べたと報じられています。投資は特定地域に集積しており、分散型というより「クラスター型」で進んでいる点が構造的な特徴です。

誰が米州の投資を牽引しているのか

牽引役はTSMC、Intel、Micron、Samsungの4社です。TSMCはフェニックスの拡張を続けており、当サイトでもテキサス州に1工場200億ドル超の新キャンパスを検討との報道を取り上げました。Intelは米国内で1,000億ドル超を投じる計画で、14Aで外部顧客との協議が生産枠の確保へ移ったとされる点も、設備投資の裏付けになります。

Micronは2035年までに2,500億ドル超を投資し、DRAM能力を増強する計画と報じられています。FQ4の売上542億ドル・粗利益率87%という収益力や、SK hynixに1ポイント差まで迫るDRAMシェアが、この投資余力の源泉です。Samsungは先端ロジックとファウンドリの拡張を続けており、ENF Technologyがテキサスの拠点からテイラー工場への供給を始めたと報じられています。ファウンドリの赤字縮小も追い風です。このほかTexas Instrumentsもアナログと組み込みプロセッサーの能力を増やしています。

材料・部品サプライヤーが「現地化」を迫られている

もう一つ重要なのは、装置を納める周辺企業への波及です。SEMICON West 2026のTaiwan Supply Chain Forumでは、IntelとMicronが台湾のサプライヤーに米国拠点の設置を促したと報じられています。Topco Scientificは21社のサプライヤーを同展に連れて行き、フェニックスとダラスにサービス拠点を持ち、Micron支援のためボイジー進出も検討中とされます。Dongjin Semichemはテキサスで半導体用化学品の量産を2026年末までに始める計画で、Hanmi Semiconductorも先端パッケージ装置を展示しました。

装置や材料は、ファブが動いたあとも保守・消耗品・薬液の供給が続くため、「顧客の近くにいること」が受注条件になりやすい領域です。ファブの集積が進むほど、サプライヤー側にも現地化の圧力がかかります。

構造的に何が起きているか

整理すると、①世界の装置投資は2029年まで2桁成長、②その中で米州の比率が12%から18%へ上がる、③投資が一部地域に集中し、サプライヤーも追随せざるを得ない、という三層の変化です。AI需要が引き金になっていますが、投資の時間軸は顧客の囲い込みと国の産業政策を含めた「数年単位の設備競争」へ移っています。

一方で留意点もあります。本稿の数値はSEMIの予測を報じた二次報道に基づいており、予測は需要や政策環境で変わり得ます。また米州の比率上昇は、そのぶん他地域の相対比率が下がることを意味し、アジアの装置需要の見え方も変わります。M&Aや事業参入を検討する立場では、装置本体だけでなく、現地化を迫られる部材・サービス・物流の周辺領域に機会とリスクの双方があると考えられます。

出典:TrendForce「SEMI Sees Americas Fab Tool Spending More Than Double to US$40.6B by 2029…」(2026年10月14日、TechNews・The Elec・Mirror Daily・SEMIの発表を引用)。数値は報道ベースです。


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