【2026年10月】TrendForce、光ファイバーのスポット価格は2026年に数倍へと報道──AIデータセンターが「ガラス素材」の供給制約を生む構造

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結論:TrendForceは2026年10月19日、光ファイバーのスポット価格が2025年比で2.8〜5倍超に上昇し、データセンター(DC)向けの需給逼迫が少なくとも2028年まで続くとの見通しを公表したと報じられています。AI競争は、GPUやHBMだけでなく、それらを「つなぐ」ガラス素材の供給量にも左右される段階に入りました。

目次

何が起きているのか:在庫は4カ月分から1カ月分へ

TrendForceによれば、2026年の世界の光ファイバー需要は5億7,700万fiber-km、供給不足は1億8,000万fiber-kmに達する見込みです。生産設備の稼働率は92%、在庫は2024年の約4カ月分から約1カ月分へ低下し、一部の主要サプライヤーは2027年1〜3月期まで受注で埋まっているとされています。不足は2025年後半に始まったとされ、少なくとも2028年まで続くという見立てです。

価格はファイバーの用途で上がり方が異なります。DC内の配線に使う曲げに強いファイバーは平均5倍超、DC間接続や基幹網向けは約2.8倍、通常の通信向けは約3.7倍です。ただしこれはスポット市場の見通しであり、契約価格や絶対額は開示されていません。

なぜ半導体の読者が注目すべきか

光ファイバーは半導体そのものではありませんが、AIサーバーの増設と表裏一体です。TrendForceは主要CSPの設備投資が2026年に9,570億ドル、2027年に1.5兆ドル超へ拡大するとみており(関連記事:CSP設備投資は2027年に1.5兆ドル超)、サーバーが増えればラック内、建屋内、拠点間のあらゆる階層で配線が増えます。DCが光ファイバー需要に占める比率は、2026年の18〜20%から2027年には30〜35%へ上がる見通しです。通信事業者向けが中心だった市場に、巨大な新規需要家が割り込んだことになります。

ここで見えるのは、AIインフラのボトルネックが順番に移っていく構造です。TSMCは需要が供給を大きく上回っていると説明し(関連記事:TSMCの7〜9月期決算)、メモリは価格上昇率こそ鈍化しながらも長期契約で価格が決まる局面にあります(関連記事:4Q26のDRAM契約価格)。光側でも、CPO(共同パッケージ光学)の普及に向けて光源の量産能力が焦点になっています(関連記事:IntelのInPシリコンフォトニクス)。先端チップ、パッケージ、メモリ、光部材と、制約は一つ解消すると次の層に現れます。

供給が簡単には増えない構造

TrendForceは、ファイバーの母材であるプリフォームの能力増強には成膜装置と新しい製造プロセスが必要で、18〜24カ月かかるとみています。価格が上がってから増産に動いても、供給に反映されるのは2028年前後になる計算です。

このため買い手は短期のスポット購入から長期契約へ動いています。VerizonとCorningは2026年9月、2027〜2032年に約1億2,900万fiber-km(約8,000万マイル)を供給する複数年契約を結んだと報じられています。CorningとMetaも2026年1月に最大60億ドルの複数年契約を発表しました。供給側では、古河電工が2026年8月に光ファイバーとリボンケーブルの増強へ約1,000億円を投じると発表しましたが、量産は2028年度下期から段階的に始まる予定です。HBMやDRAMで進んだ「長期契約で供給を確保する」流れ(関連記事:SK hynixの7〜9月期見通し)が、光部材にも広がっていると言えます。

実務上の見方:スポット価格と収益は別物

注意したいのは、スポット価格は取引量が薄く振れやすい点です。価格が数倍になったことと、各メーカーの利益が数倍になることは同義ではありません。契約価格への反映の遅れ、設備投資の負担、顧客の集中度を分けて見る必要があります。長期契約が増えるほど、足元のスポット高騰は利益に直接反映されにくくなる一方、将来の供給量と価格の下限は固定されやすくなります。

投資やM&Aの観点では、チップ単体ではなく周辺の供給制約の連鎖を見ることが重要です。装置や部材の側に価格主導権が移る動きは、ASMLの交換部品値上げの報道にも通じます。「誰が制約を握り、どの契約がそれを固定するのか」を押さえることが、AI関連企業を分析する際の出発点になります。成膜装置などの設備を持つ企業、長期契約の期間と条件、顧客がどこまで集中しているかは、企業評価でも具体的な確認項目になるでしょう。

出典:TrendForce「Optical Fiber Spot Prices Surge Severalfold in 2026…」(2026年10月19日)、XenoSpectrum(2026年10月20日)。数値はTrendForceの見通しおよび報道ベースです。


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