GaNパワー半導体とは?5G・急速充電・EV電源を支えるワイドバンドギャップデバイス【2026年版】

専門用語サムネ

結論:GaN(窒化ガリウム)はSiより高いバンドギャップを持つワイドバンドギャップ半導体。高周波・高効率スイッチングデバイスとして5G基地局のRFパワーアンプ・急速充電アダプター・データセンター電源に急速普及しており、SiCと並ぶ次世代パワー半導体の主役だ。

目次

GaNとは何か

GaN(Gallium Nitride:窒化ガリウム)はバンドギャップ3.4eV、絶縁破壊電界強度がSiの約10倍のワイドバンドギャップ(WBG)半導体だ。高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)構造のGaN-on-Siデバイスは、Siパワーデバイスに比べて高周波・高効率スイッチングが可能で、電力変換器の小型化・高効率化を実現する。GaN-on-SiCはRF用途(基地局パワーアンプ)に、GaN-on-SiはコンシューマーIC・電源用途に使われる。

GaNの主な用途

GaNの用途は大きく2分野だ。RF(無線通信)用途では5G基地局の送受信パワーアンプに採用され、Wolfspeed・MACOM・Qorvo・村田製作所が参入している。パワーエレクトロニクス用途ではスマートフォン・ノートPC向け急速充電アダプター(65W〜240W)・データセンター向けスイッチング電源・EV充電器に展開。GaN採用の急速充電器は従来のSi製品の1/3程度のサイズを実現できる。

GaN-on-Si製造の特徴

GaN-on-SiはSiウェーハ上にGaNエピタキシャル層を成長させる技術で、既存のシリコン半導体製造ラインをある程度流用できる利点がある。エピ成長はMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置で行われ、AlGaN/GaN HEMT構造を形成する。ゲート絶縁膜の形成・オーミックコンタクト形成にALDスパッタリングが使われる。8インチSiウェーハ上でのGaN量産が進み、コスト低下が加速している。

投資・M&A視点

GaNパワー市場はNavitas Semiconductor・GaN Systems(Infineon傘下)・Power Integrations・Texas Instrumentsなどが競合する。InfineonはGaN Systems買収(2023年、8.3億ドル)でGaN市場に本格参入した。5G普及・データセンター電源の高効率化・EV普及の三重奏でGaN需要は長期拡大が見込まれ、M&Aターゲットとしても注目度が高い。SiCが高耐圧・大電力用途に強い一方、GaNは高周波・中電力帯域で優位性を持ち、両者は補完関係にある。


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