【2026年10月】Samsung、7〜9月期の暫定営業利益が107.4兆ウォンに──利益の主因は出荷量ではなく「メモリ価格」、HBM4が示す供給主導の構造

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結論:Samsung Electronicsが2026年7〜9月期の暫定営業利益を107.4兆ウォンと発表した(報道ベース、10月8日)。利益の中身はほぼメモリの「価格」であり、出荷量の増加ではない。AI需要でメモリが“選ぶ側の市場”から“売る側の市場”へ移った構造変化が、数字に現れたといえる。

目次

何が発表されたのか:営業利益は約8倍、価格が牽引

Seoul Economic Daily(2026年10月8日)によると、Samsungの暫定営業利益は107.4兆ウォンで、前年同期比で約8倍に膨らんだ。ただし暫定値のため売上高や部門別の内訳は示されておらず、以下のメモリ部門の数字はMeritz証券などの推計に基づく。

同推計では、メモリの営業利益は約109兆ウォン(DRAM約80.1兆ウォン、NAND約28.7兆ウォン)。全社営業利益を上回る水準で、メモリ以外の事業が足を引っ張った計算になる。注目すべきは増益の要因だ。出荷量はDRAMが前期比3.4%増、NANDが4.2%増にとどまる一方、平均販売価格はDRAMで20.1%、NANDで19%上昇したと推計されている。つまり利益を生んだのは「たくさん売ったこと」ではなく「高く売れたこと」である。

営業利益率の推計はDRAMが78.5%、NANDが68.9%。同記事はNVIDIAの営業利益率(66%)を上回ると指摘している。装置・ファウンドリ側の利益構造は、たとえばASMLの受注と供給制約の記事でも触れたとおり供給の律速で説明できるが、メモリでは同じ現象が価格に直接跳ね返っている。

構造的に何が起きているか:汎用DRAMがHBMに押し出される

背景にあるのは、先端DRAMの生産能力がHBM(広帯域メモリ)に優先配分されていることだ。KB証券の予測では、汎用DRAMが世界のDRAM生産能力に占める比率は2024年の73%から今年65%、来年59%へ低下する。HBMはウェハーを多く消費するため、同じ設備でも汎用品の供給量が減り、汎用DRAMの価格まで押し上げる。DRAMeXchangeによればDDR4 8Gbの契約価格は2025年9月の6.3ドルから2026年9月に26ドルへ、4倍超となった(報道ベース)。

AI向けの需要は半導体各分野に波及している。たとえばMicrosoftの次世代AIチップ「Maia 300」のようにHBM4を大量に積む設計が標準化すれば、メモリ需要はチップ1個あたりで急増する。AMDのLisa Su CEOも10月7日にソウルで、メモリ供給は逼迫しておりSamsungとSK hynixが中核パートナーだと述べたと報じられている。

HBM4と2027年:価格倍増観測と「需要側の反動」リスク

同記事は、業界ではSamsungのHBM4価格が来年に今年比でほぼ倍増するとの見方があると伝える(確定値ではなく見通し)。TrendForceはHBMの世界平均販売価格が来年121%上昇すると予測している。SamsungはHBM4を先行して量産し、NVIDIAなどへ出荷を拡大しているとされるが、数量や契約額は開示されていない。

コンセンサス(FnGuide)では、Samsungの今年の営業利益は約366兆ウォン、来年は約539兆ウォン(約47%増)、Meritzはさらに高い632兆ウォンを見込む。一方で同記事は不確実性として、顧客側のコスト圧力、将来の増産、そして一部の顧客が機器あたりのメモリ搭載量を減らす可能性を挙げている。価格が先に上がる局面では、需要側が使い方を変える動きが必ず出てくる。メモリ価格の上昇が長期に続くかどうかは、この反動と供給側の設備投資競争のバランスで決まる。

周辺産業への示唆:設備投資が「米国・先端」に集まる

メモリ各社の利益急増は設備投資の原資になる。装置投資の地域分布では、SEMIが予測する米州の300mm装置投資の倍増のように、投資の重心が動きつつある。またApplied Materialsの50億ドル研究拠点に見られるとおり、装置メーカー側も先端メモリ・ロジック向けの開発体制を強化している。日本勢にとっては、Rapidusの2nm量産計画を含め、国内の先端生産をどう位置づけるかが問われる局面だ。

まとめると、今回の数字は「メモリが景気循環品から、AIの供給枠を握る戦略部品へ変わった」ことを示す。ただし価格主導の利益は、需要側の対応と増産で反転しうる。投資や提携を検討する際は、HBM比率、長期契約の有無、顧客の集中度を見極めたい。

出典:Seoul Economic Daily「HBM Prices to Double as Memory Shortage Drives Samsung Profit Surge」(2026年10月8日)。数値は同記事が引用するMeritz証券、KB証券、DRAMeXchange、TrendForce、FnGuideの推計・報道に基づく。Samsungの正式な決算(10月末予定の確定値)で変わる可能性がある。


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