ASMPT Japan株式会社|立川拠点のASMPT日本法人、SiC/GaN・車載・フォトニクス向け先端実装装置を支える技術拠点
結論:ASMPT Japan株式会社は、半導体アセンブリ・実装装置の世界最大級メガサプライヤー「ASMPT Limited」(HKEX:0522、シンガポール本社)の日本法人である。 東京都立川市錦町(多摩地域)を拠点に、半導体ソリューションとSMT(表面実装)ソリューションの両セグメントを日本市場に展開している。沿革は1999年にシーメンス株式会社内の「電子生産システム部」として設立され、2011年にASM Pacific Technologyグループ(現ASMPT)に統合された経緯を持つ。 主要顧客は、日本の半導体メーカー、自動車部品サプライヤー(デンソー、東芝、ロームなど)、イメージセンサーメーカー(ソニーセミコンダクタソリューションズなど)、光通信・フォトニクスデバイスメーカー。SiC/GaNパワー半導体、CMOSイメージセンサー、車載用高輝度LED、シリコンフォトニクスなどの実装プロセスで、ASMPT本社の世界最先端技術(AMICRA超高精度ダイアタッチ、ALSIマルチビームレーザーダイシング、SIPLACEシリーズSMT実装機など)を日本顧客に最適化して提供する技術拠点である。
ASMPT Japan株式会社とは|基本情報
ASMPT Japan株式会社(以下、ASMPT Japan)は、シンガポールに本社を置く世界最大級の半導体実装装置メーカーASMPT Limited(HKEX:0522)の日本法人として運営されている。ASMPTグループ全体では、半導体・電子機器の組立・パッケージング・SMT(表面実装)領域における世界最大級のメガサプライヤーであり、TSMC、Samsung、Intel、Micron、ASE、Amkorといった世界の半導体・OSAT大手を顧客に持つ。
ASMPT Japanは、これらASMPTグループのグローバル技術と製品を日本市場に展開する販売・技術サポート・カスタマイゼーションの拠点として機能している。法人番号9012801001927、業種分類MFG-08(産業用機械)で、立川市錦町の立川エフビル5階に本社を構える。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | ASMPT Japan株式会社 |
| 旧社名(英文) | ASM ASSEMBLY TECHNOLOGY (JAPAN) Ltd. |
| 親会社 | ASMPT Limited(旧ASM Pacific Technology、HKEX:0522、シンガポール本社) |
| 沿革 | 1999年:シーメンス株式会社内に「電子生産システム部」として設立/2011年:ASMパシフィックテクノロジーグループ(現ASMPT)に統合/2022年:ASMPT商号変更 |
| 日本本社所在地 | 〒190-0022 東京都立川市錦町1-7-18 立川エフビル5階 |
| 電話 | 042-521-7751 |
| 法人番号 | 9012801001927 |
| 業種 | 産業用機械(MFG-08)、未上場 |
| 従業員数(日本法人) | 約25名 |
| 事業セグメント | ①半導体ソリューション/②SMT(表面実装)ソリューション |
| 主要顧客産業 | 半導体、車載・自動車、イメージセンサー、光通信(フォトニクス)、産業用機器、LED、SMT電子機器、家電 |
| 主力製品(半導体) | ダイボンダー、ワイヤーボンダー、フリップチップボンダー、TCB装置、ハイブリッドボンディング、ASMPT AMICRA(超高精度ダイアタッチ:±0.2μm @ 3σ)、ASMPT ALSI(マルチビームレーザーダイシング)、モールディングシステム、シンギュレーション |
| 主力製品(SMT) | SIPLACE Xsシリーズ、SIPLACE TX micron、SIPLACE TXシリーズ、印刷機、検査機、ソフトウェア |
| 業界出展実績 | NEPCON Japan 2026(東京ビッグサイト)、SEMICON Japan等 |
| 公式サイト | https://semi.asmpt.jp/ |
日本市場は、ASMPTグループのグローバルビジネスにおいて極めて重要な位置を占める。日本には、ソニーセミコンダクタソリューションズ(CMOSイメージセンサー世界トップ)、ローム・東芝・三菱電機・富士電機(パワー半導体大手)、デンソー・パナソニック・村田製作所・京セラ(自動車・電子部品)、ルネサスエレクトロニクス(車載マイコン)など、世界トップシェアを持つ半導体・電子部品メーカーが集中している。ASMPT Japanは、これら高品質志向の日本顧客に対して、ASMPT本社の世界最先端技術を日本市場のニーズに最適化して提供する役割を担っている。
沿革|シーメンスから始まったASMPT Japanのルーツ
ASMPT Japanは、興味深い沿革を持つ企業だ。公式情報(イプロス掲載企業情報)によると、その起源は1999年のシーメンス株式会社(現ジーメンス株式会社)内の「電子生産システム部」にある。
1999年:シーメンス電子生産システム部の設立
SMT実装機ブランド「SIPLACE」は、もともと独・シーメンスの電子製造機器部門が開発・展開していたものであった。日本では1999年にシーメンス株式会社内に「電子生産システム部」が設置され、SIPLACEブランドのSMT実装機・印刷機の販売・技術サポートを開始した。
2011年:ASMパシフィックテクノロジーグループへの統合
シーメンスは2009年、電子製造機器(SIPLACE等)事業をASM Pacific Technology(現ASMPT)に売却した。これに伴い、日本のシーメンス電子生産システム部は、2011年にASMパシフィックテクノロジーグループに正式に統合され、現在のASMPT Japan株式会社の前身となった。
2022年:ASMPT商号変更
2022年6月、グループ全体が「ASM Pacific Technology」から「ASMPT」へ社名変更したのに伴い、日本法人も「ASMPT Japan株式会社」となり、現在に至る。旧英文社名は「ASM ASSEMBLY TECHNOLOGY (JAPAN) Ltd.」。
このように、ASMPT Japanは「シーメンス×ASM Pacific Technology×現ASMPT」という3つのグローバル装置メーカーの技術系譜が融合した、ユニークな歴史を持つ日本法人である。
半導体サプライチェーンにおけるASMPT Japanの位置づけ
ASMPT Japanは、ASML、東京エレクトロン、Applied Materials、Lam Researchのような前工程装置メーカーではない。半導体サプライチェーン上では、ASMPTグループの一員として、後工程・アセンブリ・パッケージング装置およびSMT(表面実装)装置の日本市場における技術・販売拠点として位置づけられる。
日本国内の競合・関連プレイヤー
日本国内の後工程装置・SMT装置市場には、ASMPT Japanのほかに以下のようなプレイヤーが存在する。
- 日本系後工程装置メーカー:東レエンジニアリング、新川(Shinkawa、KAIJO Group)、Towa(東証プライム:6315)、Disco(東証プライム:6146)、ヤマハ発動機IM、芝浦メカトロニクス、アピックヤマダ
- 日本系SMT装置メーカー:Fuji Corporation、ヤマハ発動機、JUKI、Panasonic Connect
- 海外系日本法人:ASMPT Japan、BE Semiconductor Industries(BESI)日本法人、Kulicke & Soffa日本法人、Heller Industries日本法人
ASMPT Japanは、グローバル本社の最先端技術(TCB、ハイブリッドボンディング、AMICRA超高精度ダイアタッチ、ALSIマルチビームレーザーダイシング、SIPLACEシリーズ)を、日本顧客特有の高品質要求・カスタマイゼーション要求に応える形で展開している。
強み①|ASMPT AMICRAブランド|サブミクロン精度のダイアタッチ装置
ASMPT Japanの差別化要素として特筆すべきが、ASMPT AMICRAブランドのサブミクロン精度ダイアタッチ装置である。AMICRAは、ASMPTが2018年に買収したドイツのフォトニクス・実装専業メーカーで、その技術が現在もASMPTブランドの一部として継承されている。
AMICRAの技術仕様
- 搭載精度:±0.2μm @ 3σ(サブミクロンレベル)
- 主用途:オプトエレクトロニクス、シリコンフォトニクス、AOC(Active Optical Cable)、VCSEL、レーザーダイオード、量子コンピューティング向け量子チップ、AIフォトニクス
- 機能:超高精度ダイアタッチ、フリップチップボンディング、アクティブアライメント
日本市場での重要性
日本では、シリコンフォトニクス・光通信デバイス・AOCモジュール・量子コンピューティングなど、超高精度実装が求められる先端領域での需要が拡大している。NTT傘下のNTTイノベイティブデバイス、富士通オプティカルコンポーネンツ、京セラ、住友電工デバイス・イノベーション、古河電工、三菱電機など、世界トップクラスのフォトニクスメーカーがAMICRAの潜在顧客となる。
強み②|ASMPT ALSIブランド|マルチビームレーザーダイシング
もう一つの重要なASMPT Japan扱い技術が、ASMPT ALSI(旧称ALSI:Advanced Laser Separation International)のマルチビームレーザーダイシング装置である。これはオランダ拠点のレーザーダイシング専業メーカーをASMPTが買収して獲得した技術で、現在ASMPTブランドに統合されている。
レーザーダイシングの優位性
従来のブレードダイシング(機械式ダイシング)では、ウェハ切断時にチッピング(欠け)、クラック、熱影響、パーティクル発生が問題となる。特にSiC・GaNパワー半導体などの硬脆材料、薄ウェハ、高アスペクト比デバイスでは、機械式では加工困難なケースが多い。
ASMPT ALSIのマルチビームレーザー方式は、複数のレーザービームを同時照射することで、熱影響を最小化しながら高速ダイシングを実現する。
主な応用領域
- SiC/GaNパワー半導体のダイシング
- 薄型ウェハ(50μm以下)のダイシング
- CMOSイメージセンサーの個片化
- MEMS、センサーデバイス
- LED、Micro LEDのチップ分離
強み③|SIPLACEシリーズ|世界トップクラスのSMT実装機
ASMPT JapanのSMT事業の主力ブランドが「SIPLACE」である。SIPLACEは旧シーメンス時代から続く世界トップクラスのSMT実装機(マウンター)ブランドで、現在もASMPTの主力製品ラインとなっている。
主要SIPLACE製品
- SIPLACE Xsシリーズ:高速・高生産能力のSMT実装機
- SIPLACE TX micron:高精度に板実装が行えるマウンター
- SIPLACE TXシリーズ:小型で高速、高精度なSMT実装機
これらSIPLACE装置は、スマートフォン、自動車電子機器、産業機器、家電、サーバー、医療機器などのプリント基板実装で世界中の電子機器メーカーに採用されている。日本市場では、村田製作所、TDK、京セラ、太陽誘電、ニチコンなどの電子部品メーカーや、自動車部品Tier 1、家電メーカーがSIPLACEの主要顧客となる。
強み④|車載・パワー半導体市場での専門性
ASMPT Japanは、特に日本の車載・パワー半導体市場での専門性が強い。日本は世界トップクラスの車載半導体・パワー半導体メーカーが集積しており、ASMPTグループの技術がこの領域で広く採用されている。
日本の車載・パワー半導体顧客
- ロームセミコンダクター(京都):SiCパワー半導体世界トップクラス、車載インバーター
- 三菱電機:パワー半導体、車載モジュール、SiC
- 富士電機:IGBT、車載パワーモジュール
- 東芝デバイス&ストレージ:ディスクリート、パワー半導体
- ルネサスエレクトロニクス:車載マイコン世界トップ、車載SoC
- デンソー:車載半導体内製、車載モジュール組立
- キオクシア・東芝半導体メモリ:NANDフラッシュ
- ソニーセミコンダクタソリューションズ:CMOSイメージセンサー世界トップ
車載市場で重要な実装技術
- 銀焼結(Silver Sintering):SiC/GaNパワー半導体モジュールの高温接合(220°C以上の動作温度)
- 共晶ダイボンダー:車載LED、パワーデバイス向けの高熱伝導接合
- 高密度ワイヤーボンダー:車載モジュールの大電流対応
- フリップチップ・TCB:車載SoCの先端パッケージ
強み⑤|国内アプリケーションラボ・R&Dサポート
ASMPT Japanは、国内の顧客ニーズに迅速に対応するため、R&Dおよびアプリケーションラボ機能を備えていると公表している。これは、日本顧客特有の少量多品種試作、量産工場立ち上げ、プロセス最適化、トラブル対応を、日本国内で迅速に行うための重要な機能だ。
世界トップクラスのフォトニクス・パワー半導体・CMOSイメージセンサー技術を持つ日本の半導体メーカーは、装置メーカーに対しても極めて高い技術サポート水準を要求する。ASMPT Japanは、ASMPT本社の最先端技術を、日本顧客の高品質要求に応えるカスタマイゼーション能力で支えている。
日本市場におけるASMPT Japanのポジショニング
ASMPT Japanは、後工程装置・SMT装置の日本市場において以下のような独自のポジションを持つ。
① 海外メガサプライヤーの日本最先端窓口
世界最大級のASMPTグループの最先端技術(TCB AOR、ハイブリッドボンディング、AMICRA、ALSI、SIPLACE)を日本顧客に提供できるのは、ASMPT Japanのみ。これは、日本の装置メーカーが必ずしも提供できない技術領域でもある。
② 旧シーメンスSIPLACEからの技術蓄積
1999年からの日本市場での蓄積(25年以上)があり、日本のSMT・後工程市場で深い顧客関係を持つ。
③ パワー半導体・フォトニクス・車載で重要
日本がグローバル市場で強みを持つSiC/GaN、CMOSイメージセンサー、フォトニクス、車載半導体の領域で、ASMPTグループの専門技術(AMICRA、ALSI、銀焼結装置)が活かされる。
ASMPT Japanを半導体企業分析でどう見るべきか
ASMPT Japanを評価する際の半導体メディアとしての視点は、以下のように整理できる。
① ASMPTグループの戦略的日本拠点
ASMPTグループ全体の収益・成長において、日本市場は重要なポジションを占める。TSMC JASM熊本工場、CoWoS関連の日本サプライヤー、Rapidus北海道工場の後工程需要、車載半導体の電動化トレンドという複数の追い風がASMPT Japanに恩恵をもたらす。
② xEV・電動化トレンドの間接的受益者
自動車のEV/HEVシフトにより、SiC/GaNパワー半導体、車載インバーター、車載LED、車載イメージセンサーの需要が拡大している。ASMPT Japanは、ロームや三菱電機、富士電機、ソニー、デンソーといった日本の車載半導体大手の実装プロセスを支える立場にある。
③ AI半導体・HBM・先端パッケージング
NVIDIA Blackwell、Rubin、AMD MI355X、Google TPU等のAIアクセラレータの製造には、TCB、ハイブリッドボンディング、超高精度ダイボンダーが必要不可欠。ASMPT Japanは、これらAI半導体技術を日本顧客に提供する窓口として機能する。
④ コンパクト組織での高品質サポート
従業員約25名というコンパクトな組織でありながら、ASMPTグループの世界最先端技術を日本市場に展開している。これは、グローバル本社のリソースを最大限活用しつつ、日本特有の高品質要求に応える効率的な組織モデルといえる。
まとめ|ASMPT JapanはASMPTグループの世界最先端技術を日本に届ける戦略拠点
本記事の要点を整理する。
- ASMPT Japan株式会社は、世界最大級の半導体実装装置メーカーASMPT Limited(HKEX:0522、シンガポール本社)の日本法人である
- 本社所在地は東京都立川市錦町1-7-18 立川エフビル5階、電話042-521-7751、法人番号9012801001927、従業員約25名
- 沿革は1999年にシーメンス株式会社内に「電子生産システム部」として設立、2011年にASMパシフィックテクノロジー(現ASMPT)に統合、2022年に現社名となる
- 事業セグメントは①半導体ソリューション、②SMT(表面実装)ソリューションの2本柱
- 主力製品は、ASMPT AMICRA(超高精度ダイアタッチ:±0.2μm @ 3σ)、ASMPT ALSI(マルチビームレーザーダイシング)、SIPLACEシリーズ(Xs/TX micron/TX)、ダイボンダー、ワイヤーボンダー、フリップチップ、TCB、銀焼結装置
- 主要顧客は日本のパワー半導体大手(ローム、三菱電機、富士電機、東芝)、CMOSイメージセンサー大手(ソニーSCS)、車載半導体大手(ルネサス、デンソー)、光通信・フォトニクス大手、SMT電子部品メーカー
- 日本のSiC/GaN電動化、AI半導体、車載半導体、CMOSイメージセンサー、シリコンフォトニクスの実装プロセスを支える戦略的拠点
- NEPCON Japan 2026、SEMICON Japan等の業界出展で技術情報発信
半導体産業を構造的に理解するには、TSMCや東京エレクトロン、ASML、ロームのような直接製造企業だけでなく、ASMPT Japanのようなグローバルメガサプライヤーの日本法人にも目を向ける必要がある。 日本の高品質ものづくり・xEV電動化・AI半導体・パワー半導体・フォトニクスといった成長領域は、世界最先端の実装装置とそれを日本顧客に最適化して提供する技術拠点なしには成立しない。CHIPS法を契機としたグローバル半導体製造能力増強、ロームのSiC量産拡大、三菱電機・富士電機のパワーモジュール拡張、ソニーセミコンダクタソリューションズのCMOSイメージセンサー先端パッケージング、NTT IOWNの光通信半導体といった追い風の中で、ASMPT Japanの戦略的価値は今後さらに高まる構造にある。
※本記事は、ASMPT Japan株式会社公式サイト(semi.asmpt.jp)、ASMPT Limited本社公式情報、イプロス、Baseconnect、Compalyze、NEPCON Japan出展情報などの公開情報を基に作成しています。ASMPT Japan株式会社は非上場(法人番号9012801001927)であり、売上高・主要顧客名・取引実績などの詳細情報については公表されている範囲での記載となります。本記事における事業内容、サービス範囲、業界ポジションについては、公式情報および業界一般動向に基づく分析であり、実際の事業実態、市場ポジション、競合状況などとは異なる場合があります。最新かつ詳細な情報については、企業公式サイトをご参照ください。
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