この記事のポイント:HPRAY(Changzhou)Clean System Technologyは、中国・江蘇省常州市を拠点に、半導体ウェット工程向けの超高純度配管システムを手掛ける企業です。PVDF-UHP・PFA-UHPの配管・継手・バルブを自社で一貫生産し、半導体バリューチェーンでは「前工程/超純水・薬液供給配管」に位置します。
| 企業名 | HPRAY (Changzhou) Clean System Technology Co., Ltd. |
|---|---|
| 設立・本社 | 2022年設立/中国・江蘇省常州市高新技術産業開発区 |
| 資本形態 | 非上場(BOE Technology Group、ACM Research系、Summitview Capital等が出資と報道) |
| 主要製品・技術 | PVDF-UHP/PFA-UHPの配管・継手・バルブ、計装品、超高純度配管システムのカスタム設計 |
| 主要市場 | 半導体ウェット工程(超純水・電子級薬液の搬送・制御・循環) |
| 半導体バリューチェーン上の位置 | 前工程/超純水・薬液供給配管(高純度流体ハンドリング) |
CSV上のメモとの相違点について
まず事実関係を整理します。当メディアの調査リストでは同社を「クリーンルーム用エアフィルタ・防塵機器」と記載していましたが、同社公式サイトおよびSEMI(国際半導体製造装置材料協会)の登録情報を確認したところ、実際の主力は超高純度の樹脂配管システムでした。本記事は公式情報を優先して記述しています。
半導体産業での役割と重要性
半導体の洗浄・エッチング・CMPといったウェット工程では、超純水と電子級薬液を大量に扱います。この際、配管そのものから金属イオンやパーティクルが溶出すればウェーハを汚染するため、配管材料は「流す容器」ではなく「汚染源にならない材料」として選定されます。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)とPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)は、この用途で標準的に使われるフッ素系樹脂で、耐薬品性と低溶出性を両立します。特にPFAは高純度用途の上位材料にあたり、材料単価も加工難度も高くなります。
この領域は長らく日米欧のサプライヤーが押さえてきました。中国国内でファブ建設が進むなか、こうした基幹部材の国産化は政策的にも産業的にも優先度が高く、同社のような新興企業が生まれる素地となっています。
主要製品・技術領域
① PVDF-UHP/PFA-UHP配管・継手・バルブ
同社は原材料から配管・継手・バルブまでを統合的に研究・生産していると説明しています。材料配合から成形・加工までを内製する垂直統合は、純度の作り込みとコスト競争力の両面で意味を持ちます。
② 生産能力とクリーン環境
公式サイトによれば、敷地面積は約20,000平方メートル、従業員は約250名。PVDF製品で年産2,500トン、PFA製品で年産300トンの生産能力を持ち、PVDFバルブは年5万セット超、PFAバルブは年50万セット超とされています。クラス10,000(ISO 14644-1 Class 7)のクリーンルームを5,000平方メートル超、クラス100(同Class 5)を400平方メートル超保有し、ISO 9001/14001/45001を取得しています。
③ カスタム対応
ウェット工程の配管は装置とファブのレイアウトに合わせた個別設計が前提です。標準品販売ではなく、システムとしての設計・供給能力が受注の分かれ目になります。
市場トレンドと成長機会
中国国内のファブ新設・増設は継続しており、超純水・薬液系の配管需要はそれに直結します。加えて、輸出管理の強化を背景に、中国のデバイスメーカーが国内サプライヤーの認定を進める動きが構造的な追い風となっています。
一方で、2022年設立の新興企業である以上、量産ファブでの長期実績の蓄積はこれからという段階にあります。高純度部材は認定に時間がかかる代わり、認定後は切り替えにくいという特性を持つため、この数年の顧客認定の進捗が企業価値を大きく左右します。
投資・M&A視点での評価
資本面の動きが最も注目される企業です。報道ベースでは、2025年6月にBOE Technology Group、合肥産投系のファンド等が出資したラウンドが確認できるほか、別ラウンドではSummitview Capital(武岳峰資本)やACM Research系の主体、江蘇省の産業投資グループなどが名を連ねています。
洗浄装置メーカーであるACM Research系の資本参加は特に示唆的で、装置メーカーが自社装置に組み込む高純度部材のサプライチェーンを資本で押さえに行く垂直統合の動きとして読めます。ディスプレイ大手BOEの参加も、パネル・半導体双方での高純度流体需要を睨んだものと解釈できます。
デューデリジェンスの焦点は、売上に占める半導体向け比率とディスプレイ・その他向け比率の分解、PFA(高付加価値)とPVDF(量産品)の構成比、顧客認定の取得状況、そして出資者との取引が売上のどの程度を占めるかという関連当事者取引の実態です。出資企業への販売が大きい場合、成長率の質を割り引いて評価する必要があります。詳細は半導体業界の全体構造を読むも参照してください。一次情報は企業公式サイトで確認できます。
※本記事は公開情報をもとに作成した分析・解説記事です。投資判断等の根拠として使用する場合は、必ず一次情報をご確認ください。情報は執筆時点のものであり、最新状況とは異なる場合があります。
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