FOUNDATIONS 03 / DEVICE TYPES
半導体の種類を、役割と用途で理解する
ロジック、メモリ、マイコン、アナログ、パワー、センサー。同じ「半導体」でも、技術・市場・強い企業は大きく異なります。
半導体は、
「何をするか」で分類する
半導体製品を理解する最初の一歩は、回路の細かな構造よりも「システムの中で何を担当するか」を見ることです。データを計算する、保存する、現実世界の信号を扱う、大きな電力を制御するなど、役割によって設計思想、製造技術、顧客、市場サイクルが変わります。
ロジック半導体:計算と判断を担う
CPU・GPU・AIアクセラレーター
CPUは幅広い処理を順序立てて実行し、GPUは多数の演算器で並列計算を行います。AI向けASICやNPUは特定の演算を高効率化します。
SoC・FPGA
SoCはCPU、通信、画像処理など複数機能を1チップへ集積します。FPGAは出荷後も論理回路を書き換えられ、柔軟性が特徴です。
メモリ半導体:情報を一時保持・長期保存する
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| DRAM | 高速に読み書きできる揮発性メモリ。電源を切ると情報は消える。 | PC、サーバー、スマートフォンの作業用メモリ |
| HBM | DRAMを積層し、広いデータ経路で高帯域化。演算器の近くに配置。 | AIアクセラレーター、HPC |
| NAND | 電源を切っても情報を保持する不揮発性メモリ。大容量化に強い。 | SSD、スマートフォン、データ保存 |
| NOR | ランダム読み出しに向き、コード格納に使われる不揮発性メモリ。 | 組み込み機器、車載制御 |
マイコン:機器をリアルタイムに制御する
マイコン(MCU)は、CPU、メモリ、入出力回路などを1チップにまとめた制御用半導体です。家電、自動車、工場設備では、センサーを読み、決められた時間内にモーターや通信を制御します。最高性能よりも、低消費電力、応答の確実性、安全性、長期供給が重要になる分野です。
アナログ半導体:現実世界とデジタル回路をつなぐ
シグナルチェーン
センサーからの微小な電圧を増幅し、ノイズを除き、A/Dコンバーターでデジタル値へ変換します。音声、温度、圧力、通信などで使われます。
電源管理IC
電圧を変換・安定化し、各回路へ必要な電力を供給します。バッテリー駆動時間、発熱、システムの安定性を左右します。
パワー半導体:大きな電力を変換・制御する
パワー半導体は、電力をオン・オフしたり、電圧・電流・周波数を変換したりします。EVのインバーター、急速充電器、産業用モーター、データセンター電源、再生可能エネルギーで重要です。
| 材料・素子 | 強み | 代表用途 |
|---|---|---|
| シリコンMOSFET | 成熟した技術と広い製品選択肢 | 電源、家電、低〜中電圧制御 |
| IGBT | 高電圧・大電力に対応 | 産業モーター、鉄道、車載インバーター |
| SiC | 高耐圧・高温・低損失 | EV、急速充電、エネルギー設備 |
| GaN | 高速スイッチングと小型化 | 充電器、サーバー電源、RF |
センサー・MEMS:光、動き、環境を検知する
イメージセンサー
光を電気信号へ変換し、スマートフォン、監視カメラ、車載カメラ、産業検査で画像を取得します。
MEMS・各種センサー
加速度、角速度、圧力、マイクなどを微細構造で検知します。機器が周囲の状態を理解する入口です。
このページの要点
半導体の種類は、ロジック、メモリ、マイコン、アナログ、パワー、センサーに大きく整理できます。製品ごとに重視される性能、材料、製造プロセス、顧客、市場サイクルが異なるため、企業分析や市場分析では「どの半導体に強い会社か」を確認することが出発点になります。