FJコンポジット企業分析|Cu/Mo放熱材S-CMC・絶縁基板S-DBC

半導体企業分析

この記事のポイント:株式会社FJコンポジットは、北海道千歳市に本社・製造拠点を置く独立系の機能材料メーカーである。銅(Cu)とモリブデン(Mo)を多層化した放熱材料「S-CMC®」と、独自のスパッタリング拡散接合技術を用いるセラミックス絶縁回路基板「S-DBC」を主力製品とする。S-CMC®は高い熱伝導率と低い熱膨張係数を両立し、5G通信機器のGaNデバイスやEV用パワーモジュールの放熱部品に採用されている。2025年にはS-DBCの製造を対象としてIATF 16949認証を取得し、2026年にはS-CMC®とS-DBCに関する技術が第10回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞した。

企業名 株式会社FJコンポジット(FJ Composite Materials Co., Ltd.)
本社所在地 北海道千歳市柏台南2丁目2-3
設立 2002年2月5日
代表者 代表取締役 津島栄樹
企業形態 非上場・独立系企業
主力製品 S-CMC®、S-DBC、燃料電池セパレータ、レドックスフロー電池用双極板
主要用途 EV用パワーモジュール、5G通信機器、産業機器、燃料電池、蓄電池
品質認証 ISO 9001(JQA-QMA16308)、IATF 16949(セラミックス絶縁回路基板の製造)
海外拠点 米国支社、韓国支社
主な受賞 第10回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞、第6回同大賞 特別賞、北海道地方発明表彰 文部科学大臣賞
目次

FJコンポジットとは

株式会社FJコンポジットは、金属、セラミックス、カーボン、樹脂を組み合わせた複合材料を開発・製造する機能材料メーカーである。

2002年2月に静岡県富士市で有限会社として設立され、2004年に株式会社へ組織変更した。その後、北海道千歳市に工場用地を取得し、2014年に同市への移転を完了した。2019年に第2工場、2022年に第3工場、2024年にEV向け放熱材料を生産する第4工場を稼働させている。

同社の主力事業は、パワー半導体や高周波デバイスで発生する熱を外部へ逃がすサーマルマネジメント材料である。代表製品のS-CMC®は銅とモリブデンを組み合わせたヒートシンク材料、S-DBCは銅とセラミックスを接合した絶縁回路基板だ。

FJコンポジットの競争力は、異種材料を強固に接合する独自技術と、試作から量産まで自社で対応する生産体制にある。

パワー半導体で放熱材料が重要になる理由

EV、産業用インバーター、鉄道車両、再生可能エネルギー設備、5G通信基地局では、大きな電力を高効率で制御するパワー半導体や高周波デバイスが使われる。

これらのデバイスは動作時に熱を発生する。チップの温度が上昇すると、電気的特性の変化、接合材の劣化、絶縁性能の低下、パッケージの変形などが起こりやすくなる。そのため、デバイスから発生した熱を素早く外部へ移動させる放熱部材が欠かせない。

放熱材料には、主に次の二つの特性が求められる。

  • 熱を速く伝える高い熱伝導率
  • 半導体やセラミックスとの膨張差を抑える低い熱膨張係数

銅は約400W/mKの高い熱伝導率を持つ一方、熱膨張係数は約17ppm/℃と比較的大きい。SiC、GaN、セラミックスなどの材料は、銅より熱膨張係数が小さい。

温度上昇と冷却を繰り返すと、材料間の熱膨張差によって応力が発生する。応力が蓄積すれば、はんだ層、接合界面、半導体チップ、セラミックス基板などの損傷につながる可能性がある。

ポイント:放熱材料には、熱伝導率の高さだけでなく、接合する半導体や基板に近い熱膨張特性が必要になる。FJコンポジットは、銅とモリブデンの構成比や積層構造を調整することで、この二つの性能を両立している。

主力製品① S-CMC®

銅とモリブデンを積層した放熱材料

S-CMC®は、銅箔とモリブデン箔を多層に積層し、ホットプレスによる拡散接合で一体化したクラッド材料である。

CMCは一般に、Copper Molybdenum Copperの略称として使われる。銅の高い熱伝導性と、モリブデンの低い熱膨張性を組み合わせ、半導体パッケージやパワーモジュールの放熱部品として使用される。

従来のCMC材には、モリブデン板を銅で挟んだ構造や、モリブデン粉末と銅を複合化した材料がある。FJコンポジットのS-CMC®は、薄い銅箔とモリブデン箔を多層化することで、材料構成と熱膨張係数を用途に応じて調整できる。

S-CMC®の物性

FJコンポジットが公表しているS-CMC®の代表的な物性は次のとおりである。

  • 熱伝導率:330~360W/mK
  • 熱膨張係数:6~10ppm/℃
  • 厚み調整精度:±7.5μm
  • 1個からの試作に対応
  • 加工、検査、梱包工程の自動化に対応

銅単体より熱膨張係数を抑えながら、高い熱伝導率を維持している点が特徴だ。銅とモリブデンの構成比を変えることで、接合する半導体、セラミックス、金属部品に合わせた物性設計も可能になる。

同社によると、モリブデン箔を多層化する製法により、従来構造と比較してモリブデン使用量を5分の1から10分の1程度に抑えられる。モリブデンは銅より高価なため、使用量の削減は材料コストの低下にもつながる。

接着剤を使わない拡散接合

S-CMC®では、銅箔とモリブデン箔の接合に接着剤を使用しない。加熱と加圧によって材料の原子を接合界面で拡散させる拡散接合を用いる。

接着剤層は熱抵抗や経年劣化の原因になる場合がある。拡散接合によって金属同士を直接接合することで、放熱性能と接合信頼性を確保しやすくなる。

5G通信機器への採用

FJコンポジットは、S-CMC®が5G通信機器、携帯電話基地局、航空機内Wi-Fiなどで使用されるGaNデバイスのヒートシンクに採用されていると説明している。

GaNは高周波・高出力動作に適しており、通信基地局用の高周波増幅器などに使われる。高出力化に伴って発熱量も増えるため、パッケージ内部から熱を効率的に逃がすヒートシンクが重要になる。

EV用パワーモジュールへの採用

S-CMC®は、EVのパワーコントロールユニットに搭載される両面冷却型パワーモジュールのスペーサにも使われる。

両面冷却型パワーモジュールでは、半導体チップの上下から熱を逃がす。S-CMC®を半導体と冷却部材の間に配置することで、放熱を促進するとともに、材料間の熱膨張差によって生じる応力を緩和する。

FJコンポジットは、S-CMC®が米General MotorsのEV「Cadillac LYRIQ」に採用されていると公表している。公式サイトでは、1台当たり約80個の部品が搭載されると説明されている。

EVの販売台数が増えるほど搭載数量が積み上がるため、車載採用はFJコンポジットの事業規模を拡大させる重要な契機となった。

知的財産

S-CMC®に関する技術は、日本、米国、中国、欧州で特許を取得している。商標についても日本、米国、中国で登録されている。

2016年には第6回ものづくり日本大賞の特別賞、2017年には北海道地方発明表彰の文部科学大臣賞を受賞した。

主力製品② S-DBC

パワーモジュールを支える絶縁回路基板

S-DBCは、銅板とセラミックスを接合し、セラミックス上に銅回路を形成する絶縁回路基板である。

パワーモジュールでは、半導体チップと外部回路を電気的につなぐ一方、冷却器や筐体からは電気的に絶縁する必要がある。絶縁回路基板は、電流を流す銅回路、電気を遮断するセラミックス、熱を外部へ逃がす放熱経路という複数の役割を担う。

S-DBCが対応するセラミックスとして、同社は次の材料を挙げている。

  • 窒化ケイ素(Si₃N₄)
  • 窒化アルミニウム(AlN)
  • アルミナ(Al₂O₃)
  • 酸化ベリリウム(BeO)

スパッタリング拡散接合技術

S-DBCは、FJコンポジット独自のスパッタリング拡散接合によって製造される。

セラミックス表面にスパッタリングで薄いチタン層を形成し、ホットプレスによって銅板と接合する。その後、銅板をエッチングして回路パターンを形成する。

従来のAMB(Active Metal Brazing:活性金属ろう付け)では、銀を含むろう材を使って銅とセラミックスを接合する。S-DBCでは厚いろう材層を使わず、薄いチタン層を介して固相拡散接合する。

接合界面の合金層を薄くできるため、熱抵抗を抑えやすい。銀ろう材を使用しないため、銀マイグレーションによる絶縁不良リスクを抑えられる点も特徴である。

接合界面のボイド率0%

FJコンポジットは、S-DBCの接合界面についてボイド率0%を達成したと公表している。

ボイドは、銅とセラミックスの接合界面に生じる空隙である。空気を含む空隙は熱を通しにくく、局所的な温度上昇や応力集中の原因になる。ボイドを抑えることは、放熱性能と接合信頼性の両方にとって重要だ。

ただし、「ボイド率0%」は同社が示す評価条件・測定範囲における結果として理解する必要がある。すべての製品、全生産ロット、あらゆる測定方法において、物理的に空隙が存在しないことを意味するわけではない。

熱衝撃試験

同社が公表するS-DBCの信頼性試験結果には、次の二つがある。

  • -55~150℃、5,000サイクルの熱衝撃試験に合格したユーザー評価結果
  • -40~250℃、3,000サイクルの試験に合格した産業技術総合研究所の評価結果

温度変化を繰り返す熱衝撃試験は、銅とセラミックスの熱膨張差によって、接合界面に亀裂や剥離が発生しないかを確認する試験である。

高い温度差と多数のサイクルに耐えることは、EV、鉄道、産業機器など、長期信頼性が求められる用途で重要な評価指標になる。

厚銅・非対称構造にも対応

S-DBCは、1mm以上の厚銅にも対応する。銅厚は10μm単位で調整でき、表裏で異なる銅厚を持つ非対称構造も製造可能としている。

銅を厚くすれば、大電流を流しやすくなる。一方、銅とセラミックスの厚みや構成が変わると、熱応力や基板の反りも変化する。用途に合わせて銅厚と積層構造を調整できることは、パワーモジュール設計上の利点となる。

IATF 16949認証

FJコンポジットは2025年、セラミックス絶縁回路基板の製造を対象としてIATF 16949認証を取得した。

IATF 16949は、自動車産業向けの品質マネジメントシステム規格である。製品品質だけでなく、工程管理、変更管理、トレーサビリティ、不具合予防、継続的改善などについて厳格な管理を求める。

IATF 16949認証は、S-DBCが特定の自動車メーカーや車種に採用されたことを直接証明するものではない。ただし、車載サプライチェーンへの参入と継続供給に必要となる品質管理体制を整備したことを示す重要な要素である。

LX Semiconでの量産開始

2025年5月、FJコンポジットは韓国のLX Semiconにおいて、S-DBCの量産開始を記念するセレモニーが行われたと発表した。

LX SemiconはディスプレイドライバーICや電源管理半導体などを展開する韓国のファブレス半導体企業である。この発表は、S-DBCが研究・試作段階にとどまらず、顧客企業を通じた量産段階へ進んでいることを示している。

MES2025ベストペーパー賞

S-DBCに関する「Cu–Si₃N₄絶縁基板の接合界面評価」は、第35回マイクロエレクトロニクスシンポジウム(MES2025)でベストペーパー賞を受賞した。

研究では、S-DBCの銅と窒化ケイ素の接合界面を分析し、独自接合技術によって形成される界面構造と接合特性を評価している。

ベストペーパー賞は事業上の販売実績を示すものではない。一方、同社の接合技術が学術・技術面から評価された実績として位置付けられる。

燃料電池セパレータ

FJコンポジットは、固体高分子形燃料電池などに使用するカーボン系複合材料のセパレータも開発している。

燃料電池セパレータは、反応ガスの流路形成、生成水の排出、電気の伝導、セル間の分離などを担う部材である。導電性、ガス遮断性、耐食性、機械強度、成形性が求められる。

同社は、カーボン材料と樹脂を複合化し、成形によって流路を形成する技術を持つ。2004年から燃料電池用セパレータの開発に取り組み、2018年にはNEDOからセパレータ関連の研究を受託した。

2023年には、燃料電池セパレータの量産技術に関する開発事業を進めている。S-CMC®やS-DBCと比べると市場形成に時間を要する可能性があるが、水素・燃料電池市場が拡大した場合の中長期的な成長候補となる。

レドックスフロー電池用双極板

レドックスフロー電池は、電解液中の活物質の酸化還元反応を利用して充放電する大型蓄電池である。発電量が変動する太陽光・風力発電の電力を蓄える用途で注目されている。

FJコンポジットは、レドックスフロー電池内で電気を流しながらセルを分離する双極板を開発している。双極板には導電性、耐薬品性、機械強度、液密性が必要になる。

同社はカーボンと樹脂の複合化技術を応用し、2022年にはRFBセパレータの開発と生産自動化を進めた。燃料電池セパレータと共通する材料・成形技術を活用できるため、既存技術の横展開として位置付けられる。

生産拠点の拡張

FJコンポジットは、北海道千歳市で段階的に生産能力を増強してきた。

  • 2014年:千歳市への移転完了
  • 2019年:第2工場稼働
  • 2022年:第3工場稼働
  • 2024年:EV向け放熱材料専用の第4工場稼働

2023年1月には12億5,300万円の第三者割当増資を実施した。調達資金は、第4工場の整備、S-CMC®、S-DBC、燃料電池セパレータ、レドックスフロー電池用双極板の量産設備と研究開発に充てるとしている。

2024年には北海道長沼町に新たな土地を取得し、韓国支社FJC KOREAを設立した。米国にも支社を置いており、海外顧客への技術・営業対応を進めている。

売上高と海外展開

FJコンポジットは非上場企業であり、詳細な財務諸表や製品別売上高は公表していない。

同社の公式サイトによると、2023年1月時点の従業員数は30人を超え、製品の海外出荷比率は80%を超えていた。

2024年に同社が紹介した日本経済新聞の記事では、S-CMC®がGMのCadillac LYRIQに採用され、3年間で売上高が約6倍の10億円に成長したとされている。

一方、同じ記事では翌期に売上高70億円を計画しているとの記述もある。これは将来計画であり、実際に達成された売上高とは区別する必要がある。

注意:FJコンポジットは非上場企業のため、最新の売上高、営業利益、顧客別売上、製品別売上、受注残高は公開されていない。企業規模を評価する際は、公表された過去実績と将来計画を混同しないことが重要である。

第10回ものづくり日本大賞を受賞

FJコンポジットは2026年3月、第10回ものづくり日本大賞で経済産業大臣賞を受賞した。

受賞案件の名称は、次のとおりである。

「オンリーワンの接合技術で半導体部材を流通~素材大国日本から次世代自動車大国へ~」

受賞対象は、同社独自の接合技術を使って製造するS-CMC®とS-DBC、および両製品を組み合わせてパワー半導体の放熱課題を解決する事業モデルである。

2016年の第6回ものづくり日本大賞ではS-CMC®が特別賞を受賞しており、2026年の第10回ではS-DBCを含む技術・事業が経済産業大臣賞に選ばれた。

二度の受賞は、FJコンポジットが研究開発だけでなく、量産化と市場投入まで実現してきたことへの評価と考えられる。

FJコンポジットの強み

異種材料の接合技術

銅とモリブデン、銅とセラミックスのように、物性が異なる材料を安定して接合することは容易ではない。FJコンポジットは、ホットプレス拡散接合とスパッタリング拡散接合を中核技術としている。

材料設計から量産まで対応

材料の構成比、厚み、形状、メッキなどを顧客用途に合わせて設計し、1点の試作から自動化ラインによる量産まで対応できる。

放熱部材と絶縁回路基板を提供

パワーモジュールでは、ヒートシンクと絶縁回路基板の双方が必要になる。FJコンポジットはS-CMC®とS-DBCを一社で提供できるため、材料間の熱膨張、厚み、接合条件を含めた提案が可能になる。

車載品質認証

S-DBCの製造についてIATF 16949認証を取得しており、自動車産業が要求する工程管理と品質保証体制を整備している。

海外での量産採用

S-CMC®のGM車への採用、S-DBCのLX Semiconにおける量産開始など、海外企業を通じた採用実績が公表されている。

事業上のリスク

特定製品・採用案件への依存

急成長の背景には、S-CMC®の車載採用がある。特定車種の販売動向、モデルチェンジ、顧客の調達方針変更が受注量に影響する可能性がある。

量産立ち上げリスク

材料メーカーでは、試作段階で優れた性能を示しても、量産時に歩留まり、品質ばらつき、生産速度、原価などの課題が生じる場合がある。工場増設後は、設備稼働率と安定生産の確保が重要になる。

銅・モリブデン価格の変動

S-CMC®の主要原料である銅とモリブデンは、市況によって価格が変動する。特にモリブデンは供給地域が限られ、需要と供給の変化が調達価格に影響しやすい。

競合技術の進化

放熱材料には、Cu/Mo、Cu/W、AlSiC、銅ダイヤモンド複合材、グラファイト系材料など複数の選択肢がある。絶縁回路基板でも、DBC、AMB、活性金属接合、直接接合などの技術が競合する。

用途ごとに求められる熱伝導率、熱膨張係数、強度、絶縁性、加工性、コストが異なるため、すべての市場でS-CMC®やS-DBCが最適になるわけではない。

非上場企業としての情報開示

売上高、利益、顧客構成、受注残高などの詳細情報が限定されており、外部から収益性や財務健全性を評価することは難しい。

投資・M&A視点での評価

FJコンポジットは非上場企業であり、一般投資家が株式市場を通じて直接投資することはできない。

M&Aや資本提携の観点では、次の要素が企業価値の源泉となる。

  • Cu/Mo複合材とS-DBCに関する独自接合技術
  • 日本、米国、中国、欧州で取得した知的財産
  • EVと5G通信機器での量産採用実績
  • IATF 16949に対応した車載品質管理体制
  • 北海道千歳市に集約した生産設備
  • 米国・韓国の営業・技術対応拠点
  • 燃料電池・蓄電池材料への展開可能性

一方、実際の企業価値評価では、顧客別売上構成、特定車種への依存度、契約期間、製品別利益率、設備稼働率、特許の残存期間、製造ノウハウの属人性などを確認する必要がある。

編集部によるM&A・資本提携の考察

以下は公開情報に基づく当メディア独自の分析であり、FJコンポジットまたは関連企業が具体的な交渉や検討を公表したものではない。

提携相手として想定しやすいのは、パワーモジュールメーカー、半導体材料メーカー、自動車部品メーカー、絶縁回路基板メーカー、非鉄金属メーカーなどである。

パワーモジュールメーカーにとっては、放熱材と絶縁回路基板の安定調達、共同設計、次世代SiCモジュール向け材料開発が提携目的になり得る。

素材大手にとっては、FJコンポジットの接合技術、量産ノウハウ、車載採用実績を取り込むことで、先端半導体・EV材料の製品群を補強できる。

海外企業との提携では、現地量産、顧客認定、販売網の活用が主な目的になる。すでに韓国支社を設置し、LX SemiconでS-DBCの量産開始が公表されていることから、韓国市場との関係は今後も重要になると考えられる。

もっとも、第三者割当増資を通じて独自に生産能力を増強しているため、買収だけでなく、少数出資、共同開発、長期供給契約、ライセンス供与など複数の資本・事業提携形態が考えられる。

今後の注目点

今後の企業評価では、次の動向が重要になる。

  • GM向けS-CMC®採用車種と搭載数量の拡大
  • S-DBCの量産規模と採用顧客の増加
  • 第4工場の設備稼働率
  • SiCパワーモジュール向け採用の拡大
  • 韓国・米国拠点を通じた海外売上の成長
  • 燃料電池セパレータの量産案件獲得
  • レドックスフロー電池用双極板の商用化
  • 長沼町で取得した土地の活用方針
  • 追加増資、資本提携、共同開発の動向

まとめ

FJコンポジットは、銅、モリブデン、セラミックス、カーボン、樹脂を組み合わせた複合材料を開発する北海道発の機能材料メーカーである。

S-CMC®は330~360W/mKの熱伝導率と6~10ppm/℃の熱膨張係数を両立し、5G通信機器のGaNデバイスやEV用両面冷却型パワーモジュールに採用されている。

S-DBCは、独自のスパッタリング拡散接合によって銅とセラミックスを接合し、高い放熱性、接合強度、熱サイクル信頼性を実現する。2025年にはIATF 16949認証を取得し、LX Semiconを通じた量産開始も公表された。

2026年には両製品と独自接合技術が第10回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞した。

同社は半導体そのものを製造する企業ではない。パワー半導体が安定して性能を発揮するための放熱材料と絶縁回路基板を提供する、サーマルマネジメント分野の専門材料メーカーである。

半導体メーカー、装置メーカー、材料メーカーの関係については、半導体業界の全体構造を読むも参照してほしい。

参考資料

※本記事は株式会社FJコンポジット、経済産業省、エレクトロニクス実装学会などの公開情報をもとに作成した分析・解説記事です。「ボイド率0%」や各種物性値、信頼性試験結果は、同社が公表する条件・評価結果に基づきます。個別顧客との契約条件、売上高、利益、採用数量など、公開されていない情報を保証するものではありません。投資、取引、M&A等の判断に使用する場合は、必ず最新の一次情報をご確認ください。

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