結論:真空ポンプは、CVD・PVD・エッチング・イオン注入など半導体製造装置のチャンバーを高真空状態(10⁻⁶ Pa以下)に保つインフラ機器。サブファブ(製造フロア下階)に設置され、Edwards(Atlas Copco傘下)・アルバック(ULVAC)・Pfeiffer Vacuumが主要サプライヤーだ。
真空ポンプとは何か・なぜ必要か
半導体製造の多くの工程(CVD・PVD・ALD・エッチング・イオン注入・EUV露光など)は、チャンバー内を高真空状態にして行う。真空が必要な理由は主に3つだ。①汚染防止:大気中の酸素・水分・パーティクルがウェハに付着することを防ぐ。②プロセスガスの制御:チャンバー内に少量の反応ガスを均一に充填するため、背景圧力(大気)を除去する必要がある。③粒子加速:イオン注入では高真空中でイオンを加速し、コリジョン(衝突)なくウェハまで届ける必要がある。
ドライポンプとターボ分子ポンプの役割
半導体製造装置では、2種類の真空ポンプが組み合わせて使われる。①ドライポンプ(Dry Pump):大気圧から中真空(数Pa程度)まで排気する「粗引きポンプ」。オイルを使わないドライ方式が清潔で半導体向きだ。Edwards EXCdry・アルバックのDAUシリーズが代表例。②ターボ分子ポンプ(TMP):ドライポンプで中真空にした後、さらに高真空(10⁻⁶〜10⁻⁹ Pa)まで排気する「仕上げポンプ」。高速回転するタービンブレードで気体分子を叩き出す原理で、Pfeiffer Vacuum・Edwardsが高いシェアを持つ。
サブファブとの関係
半導体ファブでは製造装置が設置されるクリーンルーム(本フロア)の下階に「サブファブ」が設けられ、真空ポンプ・排ガス処理装置・薬液供給システム・UPW(超純水)供給設備などのインフラ機器が集中配置される。真空ポンプはサブファブでウェハプロセス装置と真空配管でつながり、常時稼働している。ファブのサブファブ面積は本フロアと同等以上になることも多く、インフラ設備の重要性を示している。
排ガス処理との連携
CVDやエッチングで使用したプロセスガス(SiH₄・HF・ClF₃・NF₃など)は有毒・可燃性のものが多く、真空ポンプで排気された後そのまま大気放出することはできない。排ガス処理装置(スクラバー:燃焼式・湿式・乾式吸着式)で無害化してから排出する。真空ポンプ→スクラバーの排気ラインの管理は、工場の安全管理と環境規制対応の観点から極めて重要だ。
投資・M&A視点
半導体向け真空ポンプ市場はEdwards(Atlas Copco傘下・英国)・アルバック(ULVAC・日本)・Pfeiffer Vacuum(Busch Group傘下・ドイツ)・Kashiyama(鹿島建設グループ)が主要サプライヤー。装置1台あたり複数台の真空ポンプが必要(エッチング装置なら1台に2〜4台のポンプ)であり、新ファブ建設で大量の需要が発生する。CHIPS法による世界各地でのファブ新設ラッシュは真空ポンプメーカーにとって大きな追い風だ。また消耗品(ポンプオーバーホール・交換部品)によるアフターマーケット収益も安定しており、装置本体よりも利益率が高いことが多い。
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