結論:半導体製造装置大手のLam Researchが2026年7〜9月期に過去最高の売上82.2億ドルを記録し、2027年のWFE(ウェハ製造装置)市場は2,000億ドル超になるとの暫定見通しを示した。ただし同社自身が、部品不足とクリーンルーム不足が出荷を遅らせ、2027年の需要を満たし切れない可能性に言及している。つまり装置市場の天井は「需要」ではなく「供給」で決まり始めている。
決算の中身:売上は前期比22%増、利益率も改善
同社の発表(2026年9月27日終了四半期)によると、売上高は82.2億ドルで、6月期の67.2億ドルから22%増えた。非GAAPの粗利益率は52.4%、営業利益率は40.2%、1株当たり利益は2.20ドルである。12月期の売上は86億ドル(±4億ドル)を見込み、営業利益率は40.5%前後を想定している。
売上の内訳を見ると、システム売上が57.3億ドル、保守・サポート関連が24.9億ドルである。後者は装置の稼働台数が増えるほど積み上がる収益であり、同社はサポート事業が2026年に30%超成長するとしている。装置を売って終わりではなく、設置済み台数が収益の土台になっている点が、景気の波を和らげる構造だ。
中国比率の急上昇と、12月期の反動
地域別では中国が35%を占め、6月期の26%から大きく上昇した。一方で同社は、12月期には中国の比率が「大きく低下する」と説明している(決算説明会の書き起こし要約による)。主因は中国の国内顧客向けの減少で、外資系顧客向けは堅調が続く見込みという。
今回の増収の一部は中国向けの前倒し的な需要で、持続的な水準とは限らない。それでも全体の見通しが崩れないのは、韓国20%、台湾18%といった先端メモリ・ファウンドリ向けが厚いためである。メモリ各社の投資姿勢は、Samsung・SK hynixの巨額投資でも供給増は2028年以降とみられる構造で整理した通りだ。
牽引役はDRAM、そして先端パッケージング
システム売上の構成比はファウンドリ・ロジックが46%、メモリが46%で、メモリのシステム売上は過去最高、前年比120%増だった。DRAMは1α・1β・1γの各ノードでDDR5、LPDDR5、HBM向けの増強が進む。NAND向けも前期比で約40%増え、384層級の初期投資が始まっている。
2027年のWFEについても、成長を主導するのはDRAM、次いで先端ロジック、NANDという順序が示された。顧客側の動きとしては、SK hynixの7〜9月期の記録的な利益やSamsungの営業利益の急拡大、キオクシアの高い営業利益率が、設備投資の原資を裏付けている。
先端パッケージング向けの売上は2026年に約70%増える見通しで、TSV(シリコン貫通電極)エッチングなどHBM関連の装置が伸びる。パッケージ領域の供給網では、AmkorとNVIDIAの複数年契約や、TSMCのCoWoS値上げ報道も同じ方向を指している。
2027年を縛るのは供給:部品とクリーンルーム
同社は、近い将来の部品不足とクリーンルームの制約により、12月期から3月期へ出荷が繰り延べられると説明した。CFOは、供給制約がなければ12月期の見通しはもう少し高かったと述べている。2027年には主要な新工場が10拠点稼働する見込みだが、装置メーカーだけでなく、その先の部材・サプライヤーも同時に拡張が必要になる。
この裾野には、研磨材、クリーンルーム用ケーブル、薬液・純水用バルブといった地味な部材が含まれる。たとえばHeNan Union Precisionの研磨材、He-Shengのクリーンルーム用ケーブル、Haywardの熱可塑性バルブといった企業は、装置投資の拡大がそのまま需要になる位置にいる。
構造的に何が起きているか
整理すると、WFEは2026年の1,500億ドル台半ばから、2027年に2,000億ドル超へ伸びる見通しである。需要の源泉はAI向けメモリとパッケージングで、中国の短期的な変動はその上に乗る要素にすぎない。制約は装置の設計力ではなく、部品調達、工場の建屋、人員といった物理的な供給側に移っている。日本の装置・部材企業にとっては、数量の確保と価格転嫁の双方で交渉力が高まる局面だが、納期遅延が顧客の稼働計画に波及するリスクも同時に高まる。投資や提携を検討する側は、売上の伸びだけでなく、供給制約をどこが抱え、どこが解消できるかを見るのが要点である。
なお、本記事の決算数値はLam Researchの公表資料(SEC提出の決算リリース)に基づき、WFE見通しや中国比率の今後の見方などは決算説明会の書き起こし要約に基づく。
出典:Lam Research 2026年9月期(第1四半期)決算リリース(SEC Form 8-K、2026年10月)/Lam Research決算説明会の書き起こし要約(MarketBeat、2026年10月21日)
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