結論:TrendForceは2026年11月2日、AIネットワーキング・インターコネクトの市場規模が2024年の379億ドルから2027年には2,798億ドルへ拡大するとの見通しを示した。年平均成長率は約95%である。注目すべきは、GPUなどのアクセラレータ出荷の伸びがそのままネットワーク売上に直結するわけではない、と同社が明記している点だ。AIインフラの価値は、チップの外側にある「つなぐ部品」へ構造的に広がりつつある。
TrendForceが示した数字と範囲
同社の見通しでは、2027年のスイッチ市場は約1,050億ドルで全体の約38%を占め、最大の構成要素となる。NIC/DPUは前年比で2倍超の574億ドル、プラガブル光トランシーバは841億ドルとされる。この3分野だけで全体の約88%を占める計算だ。
光トランシーバでは主役が800Gから1.6Tへ移り、2027年のプラガブル光トランシーバ売上は前年比76%増、そのうち1.6T製品が約56%を占めるという。1.6Tの単価は下落基調ながら、800Gの2倍超の水準を保つとされる。なお、これらはTrendForceの予測値であり、確定した実績ではない点に留意したい。
構造的に何が起きているか:価値が「GPUの外」に移る
AIクラスタが大型化すると、演算チップ単体の性能より、チップ同士・ラック同士をどれだけ太く低遅延でつなげるかが全体性能を左右する。TrendForceは、アクセラレータ1基あたりのネットワーク価値はトポロジー、スイッチ構成、NICの帯域によって変わると指摘する。つまり出荷数量だけでなく「どう設計するか」が売上を決める市場になっている。
この構図は、他のAI半導体の制約とも重なる。先端パッケージではTSMCの動きが焦点になっており、TSMCがCoWoSを最大20%値上げ検討と報じられた件は、供給側のボトルネックが演算チップ周辺に広がっていることを示す。また、OracleがNVIDIAとの供給契約を拡大しつつGoogle TPUにも目を向ける動きは、顧客側が複数のアーキテクチャを使い分け始めていることを示唆する。アーキテクチャが分散するほど、接続の設計と部材の重要性は増す。
スケールアップ拡大と、銅・光・CPOの使い分け
インターコネクトの中では、スケールアップ(アクセラレータ同士を密結合する領域)の比率が2024年の11%から2027年には24%へ上昇すると見込まれる。同社によれば、スケールアップはサーバー基板上にとどまらず専用のスイッチトレイへ広がり、スイッチ機器と銅ケーブルの需要を押し上げる。GPUラック内では2027年も銅ケーブルが主流であり続けるとされ、「光が銅を置き換える」という単純な図式ではない。
一方で光の領域も動く。コパッケージドオプティクス(CPO)は光エンジンとスイッチチップを同一パッケージに統合する技術で、価値の一部をプラガブル光トランシーバからスイッチ機器側へ移す可能性がある。大規模クラスタ向けには光回路スイッチ(OCS)も使われ、Googleは自社のICI技術と光インターコネクトでTPUクラスタを拡張していると同社は説明する。シリコンフォトニクスの製造面では、Intelの300mm InPシリコンフォトニクスの報道や、光ファイバーのスポット価格に関するTrendForceの報道も、光部材の需給が論点になっていることを示している。
読み解きの注意点と今後の注目点
第一に、379億ドルから2,798億ドルへの拡大は市場調査会社の予測であり、前提となるAI設備投資が続くことが条件である。クラウド事業者の投資計画については主要CSPの設備投資が2027年にどうなるかというTrendForceの見通しも合わせて確認したい。第二に、メモリ側でも高帯域化が進んでおり、HBMの積層数に関するTrendForceの報道のように、演算・メモリ・接続が同時に設計されるようになっている。第三に、輸出統計では韓国の9月半導体輸出が初の600億ドル超となったように、AI向け需要の裾野が数字に表れ始めている。
M&Aや参入の観点では、スイッチ、NIC、光部品、ケーブルといった「つなぐ領域」は、GPUやメモリに比べて企業の層が厚く、技術の分岐(銅か光か、プラガブルかCPOか)が事業価値を大きく左右する。どの接続方式が標準化されるかを見極めることが、投資・提携判断の前提になる。
出典:TrendForce Press Center「AI Networking and Interconnect Market Projected to Reach US$279.8 Billion in 2027, with Scale-Up Share Rising to 24%」(2026年11月2日)。数値はTrendForceの予測に基づく。
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